味わい言葉ノート 115
「風の便り」六季 第36便/情報化の逆説より
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プロ野球、ヤクルトの監督時代に、
「データ重視の野球」を掲げてペナントを制し、
西武とのシリーズで日本一に輝いた野村克也氏が、
後日、テレビの番組に出演して語った言葉が、印象に残っています。
監督、ヤクルト優勝の勝因は、やはり、「データ重視の野球」ですね。
このインタビュアーの質問に対して、
野村監督は、憮然とした表情で、こう答えました。
「データ重視の野球」ということならば、いまどき、どこのチームも、
多くのスコアラーを派遣し、大量のデータを入手して、
徹底的に分析していますよ。
肝心なことは、その膨大なデータ分析結果の中から、
次の試合に勝つためのポイントを、いくつかに絞って掴み出すことです。
そして、そのポイントを、それぞれの選手の個性に合わせて、
これとこれ、といって、分かりやすく伝えてやることですよ。
この野村監督の言葉は、
「情報化」についての一つの逆説に気づかせてくれます。
「情報化」によって、我々の「思考」は、決して楽にはならない。
それは、我々に、ますます深い「叡智」を求めるからです。
(2002年7月11日 田坂広志)
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味わい言葉ノート 116
『わからない世界と向き合うために』
(中屋敷均著 ちくまプリマー新書)より
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私は、アメリカの実業家であるジャック・ウェルチの
「自ら選ばない者は、他人に支配される
(Control your own destiny, or someone els will.)」
という言葉が好きです。
(中略)
リスクを前にして立ちすくみ、何かを選ぶことから逃げ続けていると、
誰かに支配されてしまう。
ジャック・ウェルチの言は、そう教えてくれています。
(中略)
絶対に正しい選択など誰にもできない。
私たちにできることは、ベストの選択をすることではなく、
自分の選択をベストにするように生きていくことだけです。
その覚悟こそが、「自分の人生を自分のものにする」ということなのだろと、
私は思っています。
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写真に意味はありませんが、
リンクしてシェアしたときに、写真があった方が見栄えがいいので、
散歩中に撮った写真を適当に貼っています。