【学びの時間】すべての「弱さ」は、社会の「伸びしろ」

オリンピックが終わり、パラリンピックも最終日を迎えました。

実は、私は、「オリンピック」も「パラリンピック」もほとんど観ません。

オリンピックやパラリンピックに限らず、

他のスポーツ番組も観ることは、とてもまれです。

オリンピックは特に、「メダル何個目標!」といった考え方自体が嫌です。

そもそも、勝つ負けるという勝負が好きではありません。

なぜ何事も、競争、勝負しなければならないのでしょうか?

 

来る日も来る日も勝つために努力する、

すばらしいことでしょうし、そんな頑張りがあるからこそ、

多くの人に感動を与えるのだと思います。

でも、「勝つために」というのが、私は好きではありません。

 

勝つ人がいれば、負ける人がいます。

その場に出てくる人たちは、勝っても負けても、注目を浴びます。

ごくごく一部のスポットライトの当たっている人たちです。

「観る人に勇気と感動を与える」という言い方にも、

なんとなく上から目線的で、すごく違和感を感じます。

 

もっと、視野を広げて俯瞰的にみると、

スポットライトの陰には、多くの人たちがいます。

私は、そんな人たちの方に関心があります。

 

前置きが長くなりました。

朝のニュースか何かで、「ゆるスポーツ」を観ました。

面白いことを考える人がいるなと思い、その澤田智洋という人で検索して、

この本の存在を知りました。

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澤田さんは、目の見えない息子が生まれてから、人生が変わりました。

 

この本には、なるほどな、ステキだなという言葉がありました。

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あなたが持つマイノリティ性

」=「苦手」や「できないこと」や「障害」や「コンプレックス」は、

克服しなければならないものではなく、生かせるものだ。

だれかの弱さは、だれかの強さを引き出す力だから。

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マイノリティとは、

「社会的弱者」という狭義の解釈ではなく「社会の伸びしろ」。

人はみな、なにかの弱者、マイノリティである。

マジョリティとマイノリティは、人工的な線でスパッと分けられるものではなく、

むしろすべての人の中に、両者は共存している。

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そして、この本の中で一番興味をそそったのが、「NIN-NIN」です。

感動的なコンセプト、ユーモアあふれるすぐれものです。

 

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「NIN_NIN」は視覚障碍者の方に載せて使います。

「まだ赤信号だよ」とか「タクシー来るから手を挙げて」と、

かゆいところに手が届く情報を教えてくれます。

その指示は、AIに依存しているわけではなく、人間に依存しています。

 

実は障碍者や病気によって寝たきり状態だけれど、

目は見えて話せるという人が日本には相当数います。

そういう人たちが家や病室にいながら、モニター越しに「NIN-NIN」に憑依して、

視覚障碍者に目をシェアするという仕組みになっているんです。

反対に視覚障碍者は、寝たきりの人に足をシェアすることができる。

寝たきりの人たちは、家にいながらモニター越しに、

視覚障碍者と一緒に外出している気分になれるからです。

 

どちらがどちらかを助けるみたいに上下関係ではなくて、

お互いが身体機能をシェアし合う。

これを「ボディシェアリング」と名付けました。

(中略)

そんなときであったのが、ロボット研究者の吉藤オリィさんでした。

オリィさんは寝たきりで生活する人でも遠隔操作できる

「OriHime」という分身ロボットをすでに開発し、普及させていました。

(中略)

そして、2018年11月「NIN-NIN」はデビューしました。

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NIN-NINは、こんなものです。

あなたの目や手足の機能を誰かとシェア!?開発中の忍者型ロボット「NIN_NIN」がボディシェアリングで生み出す助け合い | soar(ソア) (soar-world.com)

 

以前に吉藤オリィさんの本を読んで、「OriHime」もすごいなと思いましたが、

この「NIN-NIN」もすごい!

ただ、それが報道されたのを観たことはありません。

検索して、一つみつけたのは、高知の観光に関するものでした。

高知の未来観光 | 高知県観光キャンペーン「リョーマの休日」 (kochi-experience.jp)

 

「だれかの弱さは、だれかの強さを引き出す力」

この言葉が、NIN-NINを動かしています。

 

すべての「弱さ」は、社会の「伸びしろ」ということを思うとき、

昨日書いた「先にあるのは里山(里海)コミュニティ」に

ぴったりだと感じています。

しかし、世の中は、まだそうじゃないんです。

 

世間では、戦争でもない日常に、

「戦う」「闘う」「勝利する」「武器」「秘密兵器」

「受験戦争」「企業戦士」「援護射撃」「軍資金」........

といった戦争に関わるという言葉が平気で使われています。

これは、競争時代の世相を映し出す言葉だと思います。

これからは共創時代になると思っているので、

使われる言葉も、きっと変わってくるでしょう。

 

これまで、少なくとも、私は戦争用語は意識して避けてきたし、

これからもそうしたいと思います。

 

次回は、戦争・平和ということについて考えてみたいと思います。