『まともバカ』(養老孟司著)大和書房)より
敬体を常体に替えて引用します。
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今の若い人にとって、「自己」と「知ること」は別になっている。
ものすごく細かいレベルまで、
さまざまな知識をコンピュータで得ることができる。
だから、若い人にとっては、
知識というのはコンピュータの中に入っているもの、
あるいは本の中にあって本棚に並んでいるもの、
とにかく、自分とは関係ない所にあるものである。
それをどう引っ張り出すか、それが知識である。
そういう知識として、サリンのつくり方を調べ、
実際にやってみたらサリンがつくられた。
その行為と、それをやっているほんとうの自分自身、
自分が考えている自分自身とは関係がない。
知ることは自分とは独立したことである。
オウムの事件を調べてみると、非常にそれがよくわかる。
「知」は今の若い人にとって、すべて技法、つまりノウハウである。
自分とはかかわりのないこと、
それを知っていて操作できる関係にすぎない。
自分と独立した「知」はありえないことをどうやって教えるか。
私は学生に自分が癌告知されたらどうするかを考えさせる。
あと3か月とか6カ月とか宣告されたらどういうふうに考えるかと。
つまり、癌の告知をされる以前の自分と、告知されたいまの自分は違う自分。
癌は一例に過ぎない。
何か自己と関係づけて、本当に自分のものとして知れば、自分が変わってくる。
自分がか変わるということは、過去の自分が部分的に死んで、
新しい自分が生まれてくるということ。
以前の私は、特に教育ということは考えなかった。
しかし、オウム発生以来、「知るとは何か」ということを、
まず学生に言うようになった。
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養老孟司さんは、大学生と接しています。
今の若い人という言い方は、限られた範囲内の若い人なのでしょう。
東京大学の学生なわけですから、認知能力は日本のトップレベルです。
自己と知ることが別というのは、
認知能力と非認知能力のバランスが悪いからではないかと思えます。
認知能力優位で育った大人を変えるのは大変です。
成長の段階で非認知能力を育てることが大事だと思います。
その意味では大学生の教育も大事だけど、
幼児・児童の教育がより大事なんだと思います。
非認知能力とは何か?
NHKのこのサイトにこういうことが書かれていました。
教えて! 「非認知能力」ってなに? - NHKすくすく子育てch
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子どもたちが遊んでいるとき、すごくうれしそうですよね。
子どもたちはおもしろい遊びを発見すると集中します。
遊ぶことによって、自然に主体性や意欲や頑張る力などが身につけていくのです。
それが非認知能力です。
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子どもが思いっきり遊ぶ時間は、かけがえのないものだと思います。
週末に孫娘が遊ぶ姿を見て、改めて感じたことです。
のびのび、すくすく、かわいく育っています。
よく食べ、元気に遊んで帰っていきました。