年が明けて、二つのメルマガが届きました。
そのひとつ、田坂広志『風の便り』六季24便「繊細な無意識」
のメッセージをそのまま引用します。
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かつて、キリスト者の内村鑑三が、
我々の胸を衝く、次のような主旨の言葉を残しています。
人々は、なぜ、かくも悲しい物語を求めて読み、
悲劇の演劇を好んで観るのだろう。
彼らは、悲しい物語や悲劇の演劇によって、ことさらに涙を流す。
しかし、悲しみや悲劇は、実際の人生に、かくも溢れている。
それにもかかわらず、人々は、
実際の人生における他人の悲しみや悲劇を見て、涙を流すことをしない。
この内村鑑三の言葉は、現代の人間の感性の摩滅を、嘆く言葉にも読めます。
しかし、この言葉を深く見つめるとき、
ふと、もう一つの思いが、心に浮かんできます。
我々の摩滅した感性が、
目の前の「現実」の悲しみに、気がつかないのではない。
目の前の「現実」が、余りにも悲しみに溢れているので、
我々の繊細な無意識は、それを見つめることに耐えられず
「虚構」の悲しみの中に、逃げ込もうとするのではないか。
その思いが、心に浮かんでくるのです。
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私がこのメッセージを読んだとき思ったのは、
グローバル化、情報化の飛躍的な進歩で、世界が狭くなったことによって、
ちっぽけな存在の個々人が接する世界が、
広くなりすぎてしまったということです。
かつて人間は、生まれたところから出ずに一生を終えていました。
しかし、いま、私自身も世界を股にかけたビジネスをしてきたわけで、
お金や情報が一瞬のうちに世界を駆け巡ります。
世界のどこかで起こっている悲惨なニュースが、瞬時にお茶の間や、
手元のスマホに飛んできます。
完全に感覚がマヒしていると言えるでしょう。
人間が「人間らしい」生活を生きられなくなっている、そう思えます。
ずっとそう思ってきました。
だから、Sol Cafe『幸せの栖』を模索してきたのです。
そのビジョンは、これなんです。
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周りの人たちみんなが、自分に向き合い、人に向き合い、幸せにはたらき、
人間らしい豊かな人生を生きている。
その拡がりが、世界中の人たちみんなが、
人間らしい豊かな人生を生きる”につながり、
地球全体が『幸せの栖』となっている。
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芳村思風『思風会通信』No.119「千古の教場を去るべき」
のメッセージから抜粋します。
この中にも、「人間らしい心をもって生きる」という言葉があります。
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- 古い時代と訣別し、近代に代わる時代を創るための新しい原理を創造し、世界に発信する時。
- 未来は今の延長線上にはない。
- 21世紀は、西洋の理性の時代から東洋の感性の時代へと変わるとき。
- 「人間が人間として、人間らしい心を持って生きる」という生き方をしなくては、本当の人間の幸せはない。
- 人間の目的は、人間らしい人間になること。
- 今や人類は「千古の教場を去るべきとき」を迎えている。
- 古い教えは、学ばなければ超えることはできない。古い教えを活かすだけでなく、それを超えるものを創るとき。
- 21世紀の一番大きなテーマは「平和」。
- 平和と人間性の進化をめざした「和道と悟道」(道の思想)の理念を掲げ、「権利と義務」に変わり「道義と敬愛」精神で人と関わり新しい時代を創る。
- 民主主義社会を超えて、人類がお互いに尊敬しあい、認め合う「互敬主義社会」をめざす。
- 競争して、勝つことで成長してきた時代は終わる。
- これからは、お互いにたすけあい、協力しあい、学びあう。
- 「愛」を原理にして、経済活動をすることで、人間性を高めていく「人格主義経済」をめざす。
- ひとりひとりがこの認識をしっかり持ち、自分の仕事に全力を尽くす。
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メルマガの冒頭にはこう書かれていました。
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混乱混迷の世相を思うに、もうそろそろ時代を動かす英傑・偉人が
姿をあらわしてもよさそうな頃合いかと感じている。
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そして、最後はこう締めくくられていました。
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国家百年の計を熱く語り、実践する指導者の出現を願って、
また今年も感性論哲学を進化させて語り続けます。
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わたしは、そこに期待はしていません。
もう、英傑や国家的リーダーはいらない、そう思っています。
歴史は、どんな英傑が登場しても、しばらくすると、
中央集権的な権力の虜になってしまう、
そんな歴史が、連綿と続いてきたわけです。
権力による政治や社会制度は、
国家や、民族、宗教、あらゆる面で対立や紛争が起こります。
これから必要なのは、個々人の「人間らしさ」の追求だと思います。
人間は、自分の手の届く範囲で、喜びや悲しみを感じ、
人とのつながりや、生活の豊かさが感じられるのです。
必要なのは、コミュニティです。
「人間らしい」生き方が肌で感じられるコミュニティ、
人の痛みがわかるコミュニティ、支え合って生きるコミュニティ、
対話が溢れるコミュニティ、子どもたちが真ん中にいるコミュニティ。
そんなコミュニティが、あちこちに生まれ、それがつながっていく社会。
これからは、これが必要なんです。
だから、私のSol Cafe『幸せの栖』は、漠然として夢から、
具体的な夢『ここいまタウン』になってきたのです。
この時代に生きることができるのは、ありがたいことだと思っています。
だから、肩に力が入らない程度で、いまを精一杯生きるほかありません。
写真に意味はありませんが、
リンクしてシェアしたときに、写真があった方が見栄えがいいので、
散歩中に撮った写真を適当に貼っています。