『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』(山田昌弘著 光文社新書)は、
とても示唆に富む内容でした。
この本から、なるほどなと思われる部分をたくさん書き留めています。
ほとんど引用に近い形で書き出しながら、理解を深めていきたいと思います。
まず、日本の少子化対策は、誤った認識に基づいているがゆえに
「空振り」に終わっていると指摘しています。
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誤った認識に基づいて調査、分析、そして政策がなされたため、
日本社会の多くの識者、政策担当者は、
長い間日本の少子化の原因にかかわる重大な2つの要因を見過ごしてきた。
それが、「未婚化」と「若者の経済力の格差拡大」という要因である。
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少子化の原因は、「未婚化」だと私も思います。
「若者の経済力格差拡大」というのは、「少子化」の原因というより、
「未婚化」の主な原因といえるものだと、私は理解しています。
いずれにしても、経済中心主義だった過去の資本主義社会の結果として、
特権というものを生み出した社会と格差の拡大、
それによる、多くの人々の諦観・希望の喪失という、
社会構造の問題だといえるでしょう。
「少子化対策」とは、社会の在り方の根幹にかかわる重大な課題なのです。
特権階級の方々にお任せしている限り、
解決のしようのないことではないか、そう思えて仕方がありません。
以下は、本の冒頭にある内容です。
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少子化の主な原因は、「未婚化」、つまり結婚する人の減少にある。
すべての若者が結婚して、結婚したら平均2人産むという前提を当てはめれば、
日本の合計特殊出生率は2を上回っていたはず。
しかし、日本では、未婚者はほとんど子どもを持たない、
ゆえに、結婚しない人が増える、すなわち、未婚率が上昇すれば、
日本の合計特殊出生率は下がる。
この点は、専門の人口学者がかなり早い段階から
「未婚化・晩婚化が少子化の原因」と指摘していた。
政治家や人口学者などの識者は、
「結婚しようと思えばいつかはできるものだ」と考えていたふしがあり、
そのため欧米中心主義的発想にとらわれていたとしか言いようがない。
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これを見ると、1970年代から21世紀の初めにかけて、
夫婦当たりの子どもの数は、ほぼ変わらずに推移してきたことが分かります。
2005年あたりから漸減傾向にあり、2人を切った数字になっています。
このことは、小学校の放課後子ども教室でお仕事をしている私は、
肌で感じているポイントです。
一人っ子は稀、2人が多い中、
3人、4人の兄弟姉妹がいる家庭も、かなりあります。
いまだに?と思えるような、7人の子どものいる家庭もあります。
子どもの手当てを増やすことは、大切なことだと思います。
それは、子どもを持つ家庭の助けになるからです。
しかし、それを少子化対策と呼ぶのは、???なのです。
既婚の家庭にとって、もう一人子どもを持つインセンティブになるかというと、
高架はないとは言えませんが、
それはすごく限られていると思えるからです。
日本の少子化対策について、この本からさらに学びます。
これまで、欧米の少子化対策と同じことをやってきたようです。
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欧米の少子化対策の前提
- 成人していたら未婚者は、一人暮らしであること。
- 仕事での自己実現を目指す女性が多いこと。
- カップルを求める感情が強く、恋愛感情があれば、一緒に暮らそうとする。
- 子どもをもつことの価値は、子育てを楽しむことにあり、子育ては、成人すれば終了と考えられている
日本では、これらの条件が成り立たない。
- 結婚前の若者は、親と同居している人が多い。そして、親との同居は、非難されることではない。この点は、東アジア諸国、そして、出生率が低迷するイタリアやスペインなどの南欧諸国で共通。
- 仕事による自己実現を目指す女性は少数である。仕事を続けるよりも、豊かな生活をすることに生活上の価値を置く。この点は韓国と共通。しかし、中国やシンガポールでは共通しない。
- 恋愛感情は重視されない。愛情であれば配偶者よりも子ども、夫婦であればれない感情よりも経済生活を優先する。この点も東アジア諸国共通ではないかと思われるが、確たるデータはない。
- 高等教育費用を含む将来にわたっての子育ての責任が親にかかる。それは、子どもの将来を第一に考えるのが、親のの望みでもあるからである。恋愛感情に身を任すよりも、これから育てるであろう自分の子どもの生活、特に経済生活を第一に考える。これは、東アジア諸国共通。
これらの事情があるために、
欧米型の少子化対策が「空振り」に終わってしまうのである。
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ここに書かれている日本や東アジアの考え方について、
さらに学びを深めてみたいと思います。