『子どもの脳を癒せば、子どもの脳は変わる』(友田明美著 NHK出版新書)
には、本当にこんなことが、いま起こっているんだろうかということが、
たくさん書かれています。
点線の間は、敬体を常体に替えて引用ないしは整理したものです。
まずは、児童虐待(厚生労働省の4つの分類)とは、何か?
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- 身体的虐待:殴る、蹴る、叩く、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせるなど。
- 性的虐待:子どもへの性的行為、性的行為を見せる、ポルノグラフィの被写体にするなど。
- ネグレクト:家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かないなど。
- 心理的虐待:言葉による脅し、無視、きょうだいの間での差別扱い、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるうなど。
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脳は、傷つく存在です。
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- 生まれたばかりの子どもの脳の重さは400g前後で、2年で倍近くの重さになり、10歳ごろには、大人と同じ1400gになる。
- 成長期に過度なストレス、つまり激しいマルトリートメントを受け続けると脳は「自ら変形する」ことが明らかになっている。
- 脳の特定の領域が委縮したり、肥大化したりする。
- 脳の機能に変化が生じ、子どもの健全な発達が損なわれるばかりか、生涯にわたって心の疾患などが現れやすくなる。
- マルトリートメントの「種類」によって「ダメージを受ける脳の部位」が違う。
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2018年2月 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
「子どもに対するしつけのための体罰の意識・実態調査報告」
によると、今でもこれだけの人が体罰を行っていることがわかります。
にわかには信じがたいですが。
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- 「体罰を容認する」全体の6割
- 「こぶしで殴る」「ものを使ってたたく」「加減せずに頭をたたく」1割
- 「頬を平手でたたく」3割
- 「お尻をたたく」「手の甲をたたく」7割
「お尻をたたく」という軽い体罰でも、
成長段階にある子どもの問題行動につながるという結果が出ている。
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それだけに、体罰を容認する家庭が6割もあるということは驚きです。
そこにはなにがあるのでしょう?
親の脳も傷ついているからかもしれません。
親を褒めると、徐々に親が子どもを褒めるようになるようです。
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子どものネガティブなエピソードが延々と続く。
- 「ちっとも言うことを聞かない」
- 「このあいだにも保育園で問題を起こした」
- 「また学校の先生に呼び出された」
「それでも、どこか褒めるポイントはありませんか?」と聞いても、
- 「ありませんよ。あるはずないじゃないですか」
そんな状態のとき、親の頑張りについて、
どんな小さなことでも褒め続けていると、
それを真似て子どもを褒めるようになっていく。
ポジティブな行為の連鎖が起こる。
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子どもは、ある意味、つねに問題を起こす存在です。
問題を起こすから、この子はダメだというのは、
親の、あるいは大人のエゴということもできます。
大人の視点で子どもを見るからです。
たぶん、そういう見方をする大人はかつて、
大変な問題児だったのかもしれないわけです。
それを忘れてしまっているのです。
子どもにイライラすることはいっぱいあります。
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- 子どもがおもちゃや道具を出しっぱなしにする
- 食事のときよく食べ物をこぼす
- なかなか服を着替えない
- 学校に行く支度が遅い、
- 宿題や提出物を持って行かない
- ー
日常生活の中で、親は子どものさまざまな状況に直面します。
親の思うとおりに、子どもが行動しないとき、つい問題行動だと考え、
目の前の状況をマイナスのイメージでとらえてしまいがち。
(中略)
声を荒げて怒ってしまったり、厳しい口調で責めたり、
ついお尻をたたいたりすることが起きる。
子どもは厳しい忠告を受けとめて行動を変えることはない。
むしろ逆効果で、すねたり抵抗したり、あるいはおびえたりすることになり、
子どもの行動もまたネガティブなものになっていくことが多いはず。
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そんなとき、どうすればよいのでしょうか。
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- 親がネガティブな認知を行わず、子どもの状況を中立的な視点でとらえられるような、働きかけを行っていく。
- 「うちの子はあれもこれもできない」と否定的に見るのではなく、「いまここまでできている」「これは好ましい行動だ」
- 「どうも、ここから先がうまくできなにようだ」と、目の前の子どもをじっくり観察し、いわば一歩引いたところに立って、
- ひとつひとつ丁寧に、子どもの現状を見直していく。
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私は、日々、子どもと接するお仕事をしています。
こういったことは、頭では理解でいていても、
実際にはイライラし通しの自分がいたりします。
そんなとき、これではダメだと思うのではなく、
それは仕方がないことだと思うようにしています。
イライラすると、よくない言動も起こるのは、ある程度は仕方がないでしょう。
大人だって、誰だって、人間なのですから。
大事なのは、それを認識するということだと思います。
ここに書いてきたことをしっかりわきまえて、
失敗を繰り返しながら、学び続けていくしかなさそうです。
なぜなら、大人は子どもの将来を奪うようなことをしてはいけないからです。
この本の文脈では、大人は子どもの脳を傷つけてはいけないのです。