【学びの時間】似て非なるもの:「生きる力」と「生きるためのスキル」

 

一週間くらい前にこのブログを書きました。

【学びと感じる時間】いまのSolにとって一番大事なこと - Sol Cafe 『幸せの栖(すみか)』 (hatenablog.com)

 

この本には、なるほどなと思えることがたくさんあったので、

引き続き学んでいきたいと思います。

点線の間の文章は、そのままの引用ではないものの、

敬体を常体に替えたくらいで、

書いてあることをほぼそのまま抜き出したものです。

 

私は、「教育」は、ITに例えると、OSを充実させていくことであって、

アプリをたくさん作っていくことではないと思っています。

ほぼ同じことがこの本には書かれていました。

 

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生きていくために必要なスキルは、現在加速度的に変化している。

未来予測はたいへん困難。

「生きるためにこれが必要だ」と教えてやることはできない。

その場その場で自分が生きていくうえで必要な「生きるためのスキル」を

自分で見極めて、どうやったらそれを手にすることができるかを考える。

そのための努力を続ける力こそが「生きる力」の正体。

 

「生きるためのスキル」と「生きる力」は似て非なるもの。

「生きるためのスキル」をいくら集めても「生きる力」にはならない。

それなのに今の教育論は、

「子どもに何を教え授けるべきか」ばかりに終始しているようにも思う。

それは使うかどうかもわからないアプリを

片っ端からスマホにインストールするような行為。

そんなことよりも大事なのは、

将来どんなアプリでもすぐにインストールできるように

スマホそのものの性能を上げておくことではないだろうか。

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私は、「生きる力」をつけるためには、

子どもの頃には思いっきり遊ぶこと、これこそが大事だと思っていますが、

世の中で一般的に、そうではないことが、行われてきました。

 

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早期教育の幻想ということが言われる。

幼いうちに少しでもリードしておこうと思うのだろうけれども、

幼児の頃に多少他人より先に進んでいても、そのうちその差は消滅する。

大人になって役立つ好きをを早く身につけることよりも、

何かに夢中になる感覚を経験することの意味の方が大きいと思う。

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いま『小説8050』(林真理子著 新潮社)を読みつつありますが、

その中には厳しい現実が表現されています。

他人より先に進んでいた差が消滅するだけならまだしも、

現実はそんななまやさしいものではないことを、この本は語っています。

 

そこまで行かなくても、その順番を間違えると、

その人の一生が左右されるようです。

 

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60年以上にわたる大規模追跡調査の結果を分析した

東京都医学総合研究所とロンドン大学の共同研究で、

思春期の時点で抱いていた価値観が、

人生の終盤での幸福感に大きく影響することがわかった。

 

思春期の時点で抱いていた

  • 「興味や好奇心を大切にしたい」という価値意識(内発的動機)が強いと、高齢期の幸福感がが高まる。
  • 「金銭や安定した地位を大切にしたい」という価値意識(外発的動機)が強いと幸福感が低くなる。

親の社会経済的地位や本人の学歴によらず、この関係が認められた。

 

若者に対して経済的な成功や安定を目指すように強調するよりも、

自分の興味や好奇心をはぐくむ教育環境を作っていくことが、

活力ある超高齢化社会の実現に向けて重要な対策であると示唆されます。

 

若い頃の様々な欲求や誘惑に負けずに自分をコントロールする力

(自己コントロール力)は、成人した後の経済的な成功を左右するが、

幸福感の指標である人生を振り返ったときの

満足感(人生満足感)とは関係しない。

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現代の私たちは忘れがちですが、

人間には、正解のない時代を生き抜いていく能力があると思います。

いま、「これからは正解のない時代」だとよく言われていますが、

そもそも、「正解のある時代」というのは、かつてあったのでしょうか。

「生きる力」と「生きるためのスキル」は、

どちらが大事かというものではないはずです。

どちらも大事だと思いますが、その順番が重要なのです。

どの時代にも必要なのは、まずは「生きる力」であり、

「生きるためのスキル」は、あとで乗っかってくるものだ、

と私は思っています。

 

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人類は常に予測不能な未来に、その都度適応しながら生きていた。

もともと正解がない世界を生きる達人である。

人間は事後的に「正解」をつくり出す能力に長けている。

失敗から学ぶ能力に長けている。

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私は、放課後子ども教室に通い、ドリームマップ授業をしています。

そんなライフワークの一番の想いは、

「子どもたちのかけがえのない人生が豊かなものになってもらいたい」

ということです。

昨日、2歳になったばかりの孫娘が、

昭島の私たちじーじ、ばーばのもとにやってきました。

この子も人生どうなっていくのでしょう。

ありがたいことに、温かい愛情に見守られて、今のところ順調です。

 

次の問いに続く。