引き続き近藤誠先生の著書から学びます。
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「潜在がん」は、
心筋梗塞や事故死などで死亡した人を解剖すると見つかる「がん」。
<前立腺がん>
前立腺には潜在がんが多い。
発見率は、60代で50%、80歳を超えると87%になる。
PSA検診がなかった時代、すべての潜在がんは放置されていた。
PSA検査がなかった1975年、前立腺がんによる死者は、
全男性死亡原因の約0.3%を占めるだけだった。
300人の男性がなくなれば、半数以上に前立腺がんがあるはずなのに、
それが原因で死亡したのは1人だけという勘定。
<甲状腺がん>
甲状腺も潜在がんが多く、解剖では36%もみつかる。
検査法がなかった1975年の、甲状せんがんの死亡率は、全死因の0.08%。
1,000人が死亡した場合、360人に甲状腺の潜在がんがあるはずだが、
それが原因で死亡するのは1人にも満たない。
<乳がん>
乳がんも潜在がんが多く、解剖すると20%に見つかる。
マンモ検診がなかった1975年に100人の女性が死亡すると、
20人に乳がんの潜在がんがあるのに、それが原因で死亡したのは1人だけ。
潜在がんは、胃や肺などのほかの臓器でも発見される。
検診で発見されたケースの大部分は、こうした潜在がん。
潜在がんの頻度は加齢とともに上昇することから見て、
老化現象の一種と考えられる。
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がんは、有害物質にさらされて「変異遺伝子」となって発生するので、
それにさらされるほど発生は多くなるのは、ものの道理であり、
また、正常細胞も元気がなくなる老化現象としては、
潜在がんをみんな持って死んでいくというのは、
宿命というべきものなのでしょう。
潜在がんに敬意を払い、そっとしておけば、
言い方を変えると、知らぬが仏であれば、苦しむことは何もないのです。
それを、がん検診とかで、無理やり発見してしまうから、
話はややこしくなってしまうのです。
①に引用したように、検診や健診で見つかるのは、
5~20年経過したがんであることを考えれば、
早期発見というのは、何それ?ということにならないでしょうか。
つづく
写真には、特に意味はありませんが、
リンクしてシェアしたときに、写真があった方が見栄えがいいので、
散歩中に撮ったものを適当に貼っています。