【学びの時間】とっても大事な子どもにかける言葉より大事だと思えること

 

著者が、法務省の心理職として22年間、少年鑑別所、刑務所などに勤務し、

1万人を超える犯罪者・非行少年の心理分析を行った結果、

確信したことが書かれた本です。

こんなことが書かれていました。

 

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結局のところ、私は子育て教育において、

「これをやれば必ずうまくいく」

という成功法則のようなものはないと思っています。

ただ、「これをやってしまうとだいたい問題が起きる」

というものはあると思うのです。

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よかれと思ってかけた言葉で子どもは苦しんだりします。

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  • ああしなさい
  • これをしてはダメ

社会性を身につけさせるために言った言葉の数々が、

子どもをがんじがらめにしているのです。

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自己肯定感が低いと要注意です。

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非行少年や犯罪者を面接していると、

「どうせ自分なんか」という言葉がよく出てきます。

強そうに見えても、頭がよくても、

自己肯定感の高い非行少年はほぼゼロです。

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失敗を経験することは、とても大事なことです。

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「気をつけて!」と何度も制止すれば、子どもは経験のチャンスを失います。

経験にはポジティブな面もネガティブな面もあり、失敗して落ち込んだり、

いやな気持になったりすることだってあるでしょう。

しかし、これが成長の糧なのです。

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なにげなくかける言葉は、大人が思っている以上に、

子どもにとっては大きな意味があるということなのです。

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ブーメラン効果とは、

相手を一生懸命説得するほど、反発が起こって逆の報道を導いてしまうこと。

 

ブーメラン効果が起きやすい条件

  • 説得者と同じ意見であるとき(勉強しようと思っているときに「勉強しなさい」と言われるなど)
  • 説得者を信用していないとき

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「早くしなさい」「さっさと片付けなさい」「いい加減、支度しなさい」

  • 子どもはみな事前予知能力が育っていないので、なぜ急がなければならないのか、分からない。
  • 事前予知能力が育たず、常に場当たり的で後先を考えない刹那的な思考になる。
  • なぜ、急いでほしいかちゃんと説明することが大事。

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センセーション・シーキングとは、刺激を求め続けること。

  • 子どもの興味を抑え続けると、センセーショナル・シーキングがよくない方向に出る傾向がある。

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サイモンズ(アメリカの心理学者)の子どもに影響を与える親の養育態度の4類型

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<支配>

  • 子どもに命令したり強制したりする養育態度。
  • 子どもは柔順に育つが、自発的な行動が少なく、親の顔色をうかがうようになる。

<服従>

  • 親が子どもの顔色をうかがうように接し、子どもの言いなりになるような養育態度。
  • 子どもは人に従わず、乱暴で落ち着かないといった性格が見られる。

<保護>

  • 子どもを必要以上に保護しようとする養育態度。
  • 子どもは危険に対して慎重である一方で、親のいないところでは好奇心を見せる。
  • 性格的には穏やかだが、身を守る術を身につけていない。

<拒否>

  • 子どもを無視したり、拒否するような冷淡な養育態度。
  • 子どもは神経質で落ち着きがなくなる。
  • 周囲の気を引くために、反社会的な態度を取ることもある。

 

この4つのタイプに大きく分かれるが、複合型になっていることが多い。

 

<過保護型>

  • 子どもの世話を焼き過ぎて、子ども自身の成長の機会を奪っている。
  • 子どもは危険を自分で察知して判断する能力が低く、危険なことにも簡単に手を出してしまうようになる。
  • 同時に共感性が低く、相手の気持ちを推し量ることが苦手になる。

<甘やかし型>

  • 子どもの要求を何でもかなえてあげようとして甘やかす。
  • 子どもは、自己中心的で忍耐力のない子になる。

<無関心型>

  • 親が子どもにものを与えたり、好きなようにさせたりしながら無視している。
  • 子どもは警戒心が強く、神経質で寂しがり屋になる。

<高圧型>

  • 子どもに否定的な態度を取りながら命令し支配する。
  • 子どもは共感性に乏しく、親の支配から逃れるため、逃避的な行動をとる。

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この本は、著者の膨大な経験に基づく分析なので、とても説得力があります。

ただ、私がこれまでたくさん本を読み学んできたことを再確認した形です。

新たな発見はありませんでした。

 

「ああしなさい」「こうしてはダメ」

「早くしなさい」「さっさと片付けなさい」「いい加減、支度しなさい」

といった言葉は、確かに良くないのかもしれません。

しかし、これらを一度も言わないで子育てすることは不可能だと思います。

言ってもいいと思っていたほうがよさそうです。

イライラして、「言ってしまった」ということもあるでしょう。

言ってもいいけど、それに気づくことが大事なんだと思います。

 

さらに一番大事だと思うのは、大人の自己肯定感だと私は思っています。

「自己肯定感の高い非行少年はほぼゼロです」

それは、自己肯定感の高い親によって成し得るものなのでしょう。

たまにはよくない言葉を言ったとしても、

親が毎日を充実して過ごしていればいい、

それは、本当の意味で子どもののびのび、イキイキとした成長を、

望みながら生活するということなんだと思います。

 

そう簡単な話ではないんですけど。