『イエナプラン教育を語ろう』@府中(2021.09.20)

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6月末にやろうと決めて、7月に2回目の対話会をし、今回が3回目となりました。

新しい方が何人も参加し、それぞれが想いのある方々です。

 

言い出しっぺのユニッツさん、i-zeのやまねーさん、

そしてi-zeメンバーの私(Sol)以外は、みんな初めての方々でした。

それぞれが、子どもの成長に深い関心を抱いている方々でした。

写真は、しゅうこさんのドイツでの子育て体験、

モンテッソーリ教育を取り入れた現地の公立小学校のお話をされています。

 

この会は、イエナプランを知らなくても、

子どもがすくすく育っていく教育に関心がある人は、どなたでも参加できます。

 

イエナプラン教育の知識は様々ですので、

当日、共通認識を持つために資料を準備しました。

イエナプランについては、ネットでわかりやすい説明があったので、

そのまま引用しています。

日本初のイエナプランの学校 大日向小学校のホームページも充実しています。

自分自身の覚書として、その内容をここに掲載します。

 

イエナプラン教育とは

 

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世界一幸福な子供を育むオランダの「イエナプラン教育」とは

ユニセフが発表した『先進国における子どもの幸福度』調査で、オランダは2007年、2013年と連続で総合1位になりました。

さらにWHOによる『子どもの健康行動調査(2005-6年)』でも、「生活に満足している」や「父親になんでも相談する」の項目で41地域中1位となっています。

 オランダの子どもが幸福を感じる背景には、家族の暮らしを大切にする労働環境や、子どもの自尊心を高める学校教育があります。子どもと過ごす時間を増やすために、仕事をパートタイムに変える親も少なくありません。

 

1996年の労働時間差別禁止法によってフルタイムとパートタイムの賃金・社会保障が平等になり、安心して働き方を選べるようになったのです。OECDによる『より良い暮らし指標』の「ワークライフバランス」で、オランダは2016年現在、38カ国中1位(日本は34位)です。

 

 学校では子どもの個性が尊重されます。オランダの憲法23条は教育における三つの自由(学校設立・理念・教育方法の自由)を保障しており、多様な教育が実現しています。

親は学区に制限されることなく、子どもの希望や資質に合わせて学校を選択できます。校風や授業が合わない場合は転校もでき、子どもが幸せな学校生活を追求するための体制が整っています。

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 子どもが主体のオルタナティブ教育

学校設立の自由が憲法で保障されているオランダでは、200人の子どもを集めれば誰でも自由に学校を設立できます。

教育理念・方法の自由も保障されているため、各々の学校で個別のカリキュラムが採用され、オルタナティブ・スクールも広く普及(全体の学校の一割)しています。

オルタナティブ教育:公立や私立学校と比較して、柔軟性のある教育プログラムを持つ学校

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オルタナティブ教育では子どもの能力を引き出すために、自発的な好奇心や探究心が重視されます。

教科書中心の授業や、成績による区分けは行いません。

子どもたちは試験で確認される知識のみを習得するのではなく、自律性や協調性、創造力や責任感など、実社会で生き抜くため力を養います。オランダのオルタナティブ教育の中から、最近日本のメディアにも取り上げられるようになったイエナプラン教育をご紹介します。

 

イエナプラン教育

 

イエナプラン教育とは?

1923年にドイツのイエナ大学の教育学教授だったペーター・ペーターゼンにより、教育実践を通した研究として始められました。

子どもたちを異年齢学級に編成するのが特徴です。

戦後の東西ドイツ対立やペーターゼンの早逝により、ドイツ国内で発展を遂げることはありませんでした。現在、イエナプラン教育が最も盛んなのはオランダです。1962年に初のイエナプラン校が創立されたことを皮切りに、教育理念・方法の自由を謳う教育改革の流れに乗って順調に普及しました。

現在ではオランダ国内に約220校のイエナプラン小学校があり、数校の中等学校もあります。

 

イエナプランの5つの特徴

異年齢学級

「根幹グループ」と呼ばれる学級は、3つの年齢の子どもたちによって構成されます。

子供たちは卒業までの8年間、三段階の根幹グループの中で年少・年中・年長を繰り返し経験します。教室内ではさらに5、6人のテーブルグループになり、3学年の子どもたちが一緒に勉強します。

自主学習で分からないところを教え合ったり、メンバー全員で課題に取り組んだりすることで協働の精神を養います。学級担任の教員はグループ・リーダーと呼ばれ子どもの活動をサポートします。

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リビングルームでのサークル対話

教室はリビングルームのような快適な環境になっています。

子どもたちが相談してインテリアを整え、自分たちの暮らす空間に対する責任感を身につけます。各教室には、皆で車座になって話し合う「サークル対話」のためのスペースがあります。

「サークル対話」では、用意されたテーマについての議論や、自由作文の朗読などが行われます。人前で話しをすることに慣れ、異なった意見を受け入れたり、自分の意見を組み立てたりする能力を伸ばします。

循環的な時間割

時間割は週の始めに子どもが作成し、一人ひとりが違う課題を、違う方法・場所で学習します。

自分自身で立てた規律に従って行動する責任感や、自律の精神を養います。

時間割は教科毎ではなく、「対話→仕事→遊び→催し」の、4つの基本活動を循環的に行います。

「対話」は学級全員による「サークル対話」、「仕事」は自立学習または共同学習、「遊び」はダンスやゲーム、演劇作りまで様々です。年中行事や誕生会、ミニ学芸会などの「催し」では、仲間と喜怒哀楽を共有して共同体意識を育みます。

「学ぶことを学ぶ」ための総合学習

算数、社会など教科の区別をなくし、「ワールドオリエンテーション」という総合学習を行います。

子どもの問いを出発点にして、答えを探すための手順を話し合いながら計画的に学習を進めます。教科書に載っている出来合いの答えを学ぶ画一的教育法とは正反対の学習方法です。年間およそ8~9つのテーマを決め、学校全体で同じテーマに取り組みます。

思考力や創造性を高める学習としてイエナプラン教育の中核に据えられています。

違いと共に生きる

インクルーシブな教育を目指し、子ども一人ひとりの違いを個性として尊重します。

社会で生きるということは、年齢差や能力差、価値観や倫理観の違い、異なる文化や民族など、様々な違いを受け入れ尊重するということです。学校は社会の反映であり、子どもたちは互いの違いに対してどう関わるのかを学びます。イエナプラン校では障害児や社会的・経済的ハンディキャップを持つ子どもたちを積極的に受け入れています。

 

子どもを幸福にするイエナプラン教育、その背景にあるもの

教員の養成システム

教員はきわめて重要な役割を担います。学校全体の活動を教員全員で話し合い、保護者とも協力関係を築きます。

クラスルームでは単なる知識の伝達を越えて、子ども一人ひとりを注意深く観察し、その欲求に沿って最適な学習方法を提供します。

「子供が才能を伸ばせるかどうかは、教員の能力によるところが大きい」と、多くの親が指摘しています。オランダでは1970年代よりイエナプラン教育のための教員養成コースや、現職教員のための研修が実施されています。

教育法の探究

イエナプラン校は新しいカリキュラムや教材の開発など、教育内容の刷新にも力を入れています。

1920年代にペーターゼンにより考案されたコンセプトは、時代の要請に応じてたゆみなく刷新されています。最近では小学校の教育実践を基に、中等教育のビジョンの開発も進められています。

研究についてのニュースは、イエナプラン協会の機関誌「メンセン・キンデレン」で発表されています。

オルタナティブ・スクールの連携、教育政策への提言

オランダのオルタナティブ・スクールはそれぞれ、教育法の改善や教育活動促進のために協会を設立しています。

それら複数の協会を統括する協同組織もあり、国家の教育政策について提言するなど教育制度にも大きな影響を与えています。オランダでは教育制度改革が日本と比べると比較的柔軟に行われ、常に新しい教育方法が論じられ、取り入れられています。 

 

出典:  https://sekai-ju.com/life/nld/culture/jenaplan/

 

 

<日本のイエナプラン教育>

 

以下、大日向小学校のホームページより

https://www.jenaplanschool.ac.jp/

 

【学校設立の趣旨】

誰もが、豊かに、そして幸せに生きることのできる世界をつくる。

私たちの考える「誰もが、豊かに、そして幸せに生きることのできる世界」とは、すべての人が「個」として大切にされ、それぞれの違いを認め合い、互いに協働することを通して世界平和に貢献する、自由と責任のある共同体です。

この目的を達成するために、私たちは学校を設立し、学校そのものが理想の共同体になることを目指します。

 

イエナプラン教育が大切にしてきたことには、

「児童が自分の特性を活かしながら学ぶこと」

「自分自身の学びに責任を持つこと」

「年齢も 考え方も違う集団の中で協働しお互いに助け合いながら成長すること」

「集団の中の誰もが自分らしく生活できるように責任をもって意思決定に参加すること」

「自分自身の関心から生まれる問いに基づき自発的に学ぶこと」

「身近な自然や地域の人々との関わりといった実社会と地続きの学習環境の中で学ぶこと」など。

 

イエナプラン教育のコンセプト - 「20 の原則」

イエナプラン教育のコアクオリティ 私たちが大切にする「関係性」 ― 自分自身との関係 他者との関係 世界との関係

 (詳細は大日向小学校のホームページ参照)

 

サークル対話:

対話することは私たちが共に生きていくための土台となります。大日向小学校の一日は、サークル対話で始まり、週末にあったことやクラスの中の出来事など、お互いに顔が見えるようにサークル(輪)になって話します。1日の終わりもサークルになって、その日を振り返ります。

 

遊び:

大日向小学校では、「遊び」の時間も大切にされています。好きなことを自由にするという遊びもあれば、グループリーダーが意図を持って計画的に行う遊びもあります。 身体を動かしてリフレッシュしたり、絵を描いたり歌を歌ったりすることで、一日の生活がよりリズミカルになります。

 

ブロックアワー(自立学習・基礎学習):

グループリーダー(教師)が、1週間を基本単位として、各教科の基礎的・基本的な学習や、ワールドオリエンテーションに必要な内容についての課題を設定します。子どもたちは、グループリーダー(教師)から示された「しなければならない課題」と「自分自身が選択した内容」について、どのように学ぶかを計画し、それぞれに合った方法で自立的に学習します。

 

ワールドオリエンテーション(協働学習・総合学習):

ワールドオリエンテーションは「イエナプランのハート」と呼ばれ、日々の学習の中心的な活動です。学校全体で取り組むテーマに沿って、教科横断的に学習を進めます。実際に世界で起こっていること(身近なことから地球規模のことまで)について、教科学習で学んだことを活用し、グループのメンバーと協力しながら総合的に学びます。また、ワールドオリエンテーションの中で生まれた問いを深めるために、ブロックアワーでも必要な知識を得ていくという循環によって、「意味」のある学びとなります。

 

催しと行事:

大日向小学校では、1年や1週間といった区切りの始まりと終わり、季節ごとのお祭りや誕生日や記念日など、様々な機会に学んだことや、嬉しいこと、悲しいことを共に分かち合う「催し」を行います。また、地域の方々と共に行うスポーツフェスティバルや、地域の行事への参加なども積極的に行っています。