【Solの徒然詩集】〈3〉記念なる昭和記念公園

初めての年間パスポートを手に、昭和記念公園に入る。

薄青く澄みわたる空に雲はない。

お日さまの光に包まれて独り歩く。

顔に感じる空気は、やはりまだ冬。

時折吹く風も冷たい。

 

広い公園は春を待っている。

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時期が来れば、季節の花々が咲く庭園も、

ロープで仕切られ、まだなにもない。

でも、花壇の淵には、可憐に咲く水色の花がある。

イヌノフグリという花である。

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その横には、下に根をはって時期を待っている草葉がひっそりとしている。

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気持ちのいいくらい大きな広場では、

家族連れが思い思いに、のどかな時間を過ごしている。

 芝生に寝転がっている人

 お弁当を食べている家族

 小さなテントもある

 バドミントンをしている親子

 ボールをけっている家族

 キャッチボールをしている人たち

 フリスビーをしている人たち

 

やわらかく、穏やかに人々の楽しそうな声が聞こえる。

子どもたちのはしゃぐ声、そして、幼い子の鳴き声もある。

ボールがグラブに収まる音が、あるテンポで聞こえる。

カラスの鳴き声のほかに、鳥のさえずりも聞こえる。

公園内を走る機関車バスの音が聞こえる。

空から、ヘリコプターの音だろうか、わずかな機械音も聞こえる。

 

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いま、春を待つ桜木に囲まれたベンチに座り、

感じたままをノートに書き取っている。

しばらくじっと座っていると、

お日様に照らされながらも、さすがに冷えてくる。

それでも、持ってきた岩波少年文庫041を手に取ってみる。

少しだけでも読んでみよう。

『トムは真夜中の庭で』(フィリパ・ピアス作)

に挟んだ栞のページを開けた。

 

開けたページには、こんな言葉があった。

 「トムはいつでも忘れてばかりいた。」

 

現実の世界にあるときは、庭園の友だちのハティに会ったとき、

頭のいい質問をしてやろうと計画するトムは、

真夜中に夢のような庭園に出て行くと、

もう刑事のような質問なんてすっかり忘れてしまって、

自分は男の子だということ、

ハティは自分の友達だということのほかは

何も考えなくなるのだった。

 

この場所にいると、毎日のように報道されることが嘘のようだ。

今日はそんな豊かな時間を過ごすことができた。

これからは、ここに、いつでも何度でもやってくることができる。