『ちいさい・おおきい・つよい・よわい 「遊びの本質」』
(天野秀昭著 ジャパンマニシスト社)からは、
たくさんのメモを取っていますが、少し寄り道します。
『そこに、遊びがある授業』(安藤浩太著 東洋館出版社)に、
かのプラトンの教育に関する言葉が書かれていました。
紀元前400年前後に生きた人が、こんなことを言っているとは驚きです。
本質は、時代を超えて、同じなんだと思います。
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子どもたちを学習させながら育てるにあたって、
けっして無理強いを加えることなく、
むしろ自由に遊ばせるかたちをとらなければならない。
またそうしたほうが、それぞれの子どもの素質が何に向いているのかを、
よりよく見てとることができるだろう。
教育者は、子どもの快楽や欲望を、そういう遊戯を通じ、
彼らが大きくなればかかわりをもたねばならぬものへ、
さし向けるようにつとめねばならない。
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さらに『明日をつかむがっこう』(白井智子著 集英社)から引用します。
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ある日、ドリームプラネットという新しい学校ができることをテレビで知って、
会いに来た15歳の少年がいた。
彼の15年の人生の中で、学校に通った期間は、合計で1か月に満たない。
入学してから、彼の学習意欲は舌を巻くほど。
小学生程度からの漢字、文章表現、数学、社会常識、
次々とものすごい勢いでマスターしていった。
「勉強がおもしろくてしょうがなくて、眠れない」というのが悩みだったほど。
「ここにくる以前は、いつも人の目ばかりを気にしていた。
人と自分を比較しては、人を羨み、ため息をついていた。
ドリームプラネットで半年過ごし、
ようやく自分は自分だと思えるようになった。
そうしたら、自分にも何かできるような気がしてきた。
いまは、ジャーナリストに興味がある。
ジャーナリストという仕事をもっと知りたい。
そして、できるなら、その職業に就いて、世界中の人に会いたい。
世界で起こっていることを、この目で見て、たくさんの人に伝えたい」
「やっぱり、まわりの人がしっかりと、子どもを支えてやらないと、
心の傷って残るんです。
僕の周りの大人も、今でこそ僕のことを認めてくれるようになったけど、
小さいころは、誰も支えてくれなかったから、
今でも " 自分は学校に行けなかったんだ "
というコンプレックスに悩まされることがある」
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この子もまた、やりたいことをやらせてもらえなかった,
ということではないかと思われます。
さらに引用します。
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子どもの才能を見出して伸ばせば、基礎や基本は後からついてくる。
目的に向かって進むことで人格もついてくる。
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これって、やりたいことを尊重する姿勢です。
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「好きなことをしていい」「夢に向かって進め」
こんな言葉は耳に心地よく響く。
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言葉ならいくらでも言えます。
しかし、
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子どもたちは、前の学校でやりたくないことを押しつけられていたと、
一様に口にする。
でも、少し考えてみれば、やりたくないことは確かに存在しただろうが、
どうしてもやりたいこと、
「夢」といえるものがあったかどうかとなると心もとない。
与えられたことを拒否することはできても、
自分で本当にやりたいことは何かわかっていなかった。
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こういう状態になるのは、子どもの責任ではないでしょう。
思いっきり遊ぶ機会を与えられないから、
自分のやりたいことが湧いてこなくなってしまっている、
そう思えてしかたがありません。
子どもたちは、自ら成長していくのです。
そんな子どもたちを支えるのが大人のやることでしょう。
そんなことを改めて思っていると、出てきた言葉があります。
『Sol Cafe 幸せの栖』の出発点です。
「人間らしい豊かな人生を生きる」
それが、いま失われてしまっているのではないでしょうか。
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今晩のNHKの「ニュースウォッチ9」で、
カスハラのものすごさが報道されていました。
日本人は、いったいどうしてしまったのでしょう。
そういう社会になってしまっているというほかありません。
どういう社会かというと、多くの人が人間らしさを感じられていない、
言い方を変えると、感謝を忘れてしまっている、
そういうことなんだと思います。
そんな社会に、子どもたちは生きている、
そう見てしまうと、悲しくなります。
しかし、多くの人たちが、人間らしく、感謝して生きていることも、
決して忘れてはいけない、そう思って、
この寄り道から、元の散歩道に戻っていきます。