【学びの散歩道】子どもたちの将来は大丈夫なのだろうか?(29) 遊びのない日本

『世界一子どもが幸せな国に学ぶ 愛を持って見守る子育て』

(リヒテルズ直子著 カンゼン)こういうものがありました。

 

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ハワード・ガードナー ハーバード大学教授(教育学者)によると、

人間の知性には、8つの種類があり、一人ひとりの人間は、

そのいくつかの組み合わせを個性として持っているという。

  • 文字スマート:言葉で表現したり、本を読むことが好き
  • 数理スマート:数字や論理性に関心が高い
  • 空間スマート:物事を立体的にとらえ、地図などを書くのが好き
  • 運動スマート:運動能力が高く、身体を動かしているのが好き
  • 思考スマート:物事をじっくりと深く掘り下げて考えるのが好き
  • 社会スマート:その子がやってくると、その場の雰囲気がよくなり、ケンカの仲裁などができる
  • 自然スマート:動植物に関心が強く、小動物や植物を観察したり育てるのが好き
  • 音楽スマート:音楽が好きで、リズム感覚に長けている

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これを見たとき、まだ足りないねとおもいました。

そこで、私が勝手に名前をつけて、追加してみました。

  • 美的スマート:絵を描くことや、平面の色とりどり物をつくったり、書道などをするのが好き
  • 工作スマート:手を動かして物を作るのが好き
  • 機械スマート:メカに関心が強く、物を分解したりその仕組みを知るのが好き
  • 鑑賞スマート:美的なものを見るのが好き 鉄道オタクや観光地旅行お宅も含む
  • 美食スマート:おいしい料理をつくったり、食べたりするのが好き
  • 共感スマート:決して器用ではないが、人の心の痛みがわかり、人に寄り添える共感力がる
  • 内省スマート:いい意味での孤独が好きで、静かに内省する時間を楽しむことができる

これらは、上記の8つに包含されるのかもしれませんが、

音楽があるんだったら、

もっと絵画的な物やメカ的なものがあってもいいと思います。

それだけ、個性って多様なんだと思うのです。

 

そんな多様な個性が、そして子どもたちの様々な能力が、

知らず知らずのうちにつぶされていたとしたらどうでしょう。

まだ書いていませんが、最近読んだ本から、

それは現実としてあるということを感じています。

 

その結果、日本の子どもたちの幸福度は低くなってしまっているのでしょう。

 

ユニセフ報告書「レポートカード16」 先進国の子どもの幸福度をランキング 日本の子どもに関する結果 (unicef.or.jp)

この内容を、読んでみました。

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  • 日本は子どもの幸福度の総合順位で、38カ国中20位。
  • 身体的健康は1位でありながら、精神的幸福度は37位という最下位に近い結果。
  • スキルは27位。(学力の指標である、数学・読解力で基礎的習熟度に達している子どもの割合では、日本はトップ5である一方、「すぐに友達ができる」と答えた子どもの割合は、日本はチリに次いで2番目に低く、30%以上の子どもが、そうは思っていないという結果)
  • 日本は、生活に満足していると答えた子どもの割合が最も低い国の一つ。生活全般への満足度を0から10までの数字で表す設問で、6以上と答えた子どもは、日本では62%のみ。
  • 自殺率も平均より高く、その結果、精神的幸福度の低いランキングとなった。
  • 日本は、困った時に頼れる人がいると答えた人の割合が最も低い国の一つ。
  • 殺人による死亡は、最も少ない国。
  • レポートカード16では、より多く外で遊ぶ子どもの方がより幸せであるという結果が示された。
  • 外遊びの機会は子どもの幸福度に関係するが、日本のデータはない。

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「サンマが消えた」「サンマをつくり出す」で書いたように、

塾や習い事で忙しい日本の子どもの外遊びの時間は限られています。

いまだに学力偏重な社会的感覚が続き、

日本の子どもたちに時間的・空間的な仲間との「遊びがない」、

いやとっても少なくなってしまっています。

 

どうしてでしょうか?

それは、大人の問題であり、社会の問題なのだと、私は感じています。

大人や社会に、心理的「遊びがなくなった」のが、

いまの日本と言い切ってもいいでしょう。

大人や社会の幸福度も、世界の底辺にあるのです。

 

2023年度の幸福度は、47位。

【2023年最新】世界幸福度ランキング 1位はフィンランド、日本の順位は? | ELEMINIST(エレミニスト)

2022年、54位であった時のコメントはこうなっています。

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  • 日本のGDPは高く、また社会保障制度も充実している。
  • 世界的に見ても治安は良く、暮らしやすい環境が整っていると言える。
  • 実際に、「1人当たり国内総生産(GDP)」「社会保障制度などの社会的支援の充実」「健康寿命」「人生の選択における自由度」の数値だけを見ると、ランキング上位国と、さほど大きな差がない。
  • それにもかかわらず順位が伸びない理由は、「他者への寛容さ」と「国への信頼度」が低い点にある。
  • 国民それぞれが抱く「主観的幸福度」についても、1位のフィンランドの「2.518」に対して、日本は「1.487」。
  • 幸福感を抱きにくい社会の仕組みも、問題の一つと言えるだろう。
  • ちなみに、日本よりもランキングが高い国々の中で、主観的幸福度が日本よりも低い国は、シンガポールとエストニアのわずか2つである。

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大人自体の幸福度が低いのですから、

子どもの幸福度が高いはずもありません。

それは、社会のあり方や仕組みにあると言えます。

ただ、「それを変えられるのは政治である」とは、決して言えない状況です。

それを成しえるのは、市民である個々の人たちの想いであり、

行動であり、つながりであると思います。

 

写真に意味はありませんが、

リンクしてシェアしたときに、写真があった方が見栄えがいいので、

手元にあった写真を適当に貼っています。