〈Tip & Episode〉子どもにとっての友達のたいせつさ

 【引用】出典:『子どものまなざし』佐々木正美

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乳児は、最初のうちはお母さんの母乳だけで十分に育つのですが、

やがて離乳食が必要になるように、

子どもの自立的な心の発達には、

母親や家族とのいい関係をへて、

その後、友達など家族以外との豊かな関係が

ぜったいに必要になるのです。

 

子どもの臨床者として、思い続けてきたことは、

現代の大人たちが、子どもにとっての友達のたいせつさを、

いいかげんに考え過ぎているということです。

 

勉強の成績や稽古ごとの進みぐあいには、

たいへん気をつかっているのですが、

友達といい関係を持っていくことには、

多くの親たちが無関心でいることにおどろいています。

 

私は、学校の先生の勉強会などで、かならずお話ししていることですが、

授業の落ちこぼれよりも、休み時間や放課後の落ちこぼれのほうが、

人格形成の上でははるかに深刻だということです。

このことは本当に、なかなか理解されにくいのですが。

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私が通う民間の学童保育は、小学1-3年生がやってくる場です。

今は、1-2年生だけですが。

 

「てらこや」の一環で、最初に動物園・動物図鑑を図書館で借りて、

どんな動物を知っているのか聞いてみました。

カバを知らない、サイを知らないという子がいたからです。

その子は、特別支援学級に通っている2年生です。

電車オタクですが、どうも動物園には行ったことがないようでした。

 

そのときいた9人の2年生と1年生で、

  • 動物園に行ったことがない子が2人
  • 水族館に行ったことがない子が4人

いて、正直驚きました。

それだけではありません。

ライオンやキリン、それにパンダを知らない1年生が一人いました。

唯一ペンギンだけは知っていました。

 

だから悪いということはないのですが、正直ぴっくりです。

”ライオンを知らない子なんていない”といった

先入観を持って接してはいけないと気づかされたのです。

 

その電車オタクの子も、今度5月に遠足で多摩動物公園に行くようです。

その子も、たぶんそのときに、カバやサイを実際に見ることになるので、

ライオンを知らない子も、遅かれ早かれ、そういう機会があるでしょう。

 

友だちの大切さと言えば、

電車オタクの新一年生が入ってきたので、

ときどき二人で遊んでいます。

 

この新一年生、とっても無邪気でかわいいのですが、

ちょっとかわいそうな場面があります。

ほかの子は宿題がないので、すぐに遊びます。

でも、この子は、お母さんからひらがなのドリルを渡されていて、

毎日、3枚6ページもやるのです。

みんなが遊んでいるので、集中できないし、

そもそもそんな勉強に興味はないので、できません。

それでもけなげに頑張っています。

できないけどいい?と聞かれると、

いいよ、よく頑張ったね、といって解放します。

 

遅かれ早かれ動物園に行くとはいっても、

一つのきっかけになるかもしれないと思い、

図鑑と一緒に、動物塗り絵も置いておきました。

その子はまだタッチしていませんが、

ほかの子が先日塗り絵しました。

ただ、関心は恐竜のようでした。

だから今度は、恐竜の塗り絵と図鑑を用意します。

 

写真のこの二人、一人は川崎から引っ越してきたばかりなので

この学童ではじめて会ったのですが、すぐに仲良くなって、

一緒に工作したり、はしゃいだりしています。

 

ほかには、2年生の男の子二人もなかよしです。

一人は最初からここに通っていました。

もう一人は、学校の学童保育から、昨秋にこちらに移ってきました。

この二人性格はまったく違います。

同じクラスでありながら、ほとんど話したことはなかったようです。

最初からいる子は、その子のことを好きじゃないとはじめは言っていました。

かなり仲たがいをしたり、どうなるのかと思った時期もあります。

でも、今は、友だちです。

いつもじゃれまわっています。

学童保育のおかげで、友だちの幅が広がった二人です。

 

先日も書きましたが、近所の6年生の女の子がやってきて、

仲よく遊んでくれています。

これもまた、年次を越えた交流による成長につながるでしょう。

 

学童保育は、とてもステキな場だと思います。

子どもが成長していくうえで、欠かせない場だとも思います。

私が通う学童保育では、

  • 友だちとの関係性を豊かに、のびのび育つ場
  • 興味関心を膨らませて、チャレンジできる場

にしていきます。

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