昨日は、夕方に用事があったので、お仕事はお休みしました。
18時に出かけるまで、午後はずっとこの本を読んでいました。
そして、今日の午前中、何とか読み切りました。
たぶん書店で書評などを見て読んでみようと思ったのだと思います。
NYタイムズなど世界が絶賛とか、男性必読の書とか書かれていたと思います。
本文は単行本で約540ページ、びっしり文字の詰まったものでした。
読み切るのに優に8時間以上かかったでしょう。
感想を3言で言えば、「すごい、しんどい、読んでよかった」です。
主人公、夏目夏子の物語です。
夏子に強い影響を与える一人の男性以外は、夏子の姉・姪と、
夏子に関わる何人かの女性たち、ほほぼすべてが女性の物語です。
何か大きな事件が起こるわけでもない、
ある意味淡々と過ぎていく日常を、
夏子をはじめ女性たちの内面と会話で描かれた物語です。
「すごい」というのは、どうしたらこれだけの表現をなしえるのか!
想像もつかない描写力です。
「しんどい」の一つは、長いということ。
もう一つは、途中で読むのを何度かやめようかと思えたことです。
「生まれる」「生きる」「産む」の意味が、深く掘り下げられ、
一方で、すごい表現力をもって、ある意味淡々と語られています。
タッチーな部分がずばずば書かれていて、
始めから400ページの半ばまでくらいは、
先行きの見えない重苦しさを感じました。
「読んでよかった」は、最後の2割くらいで、
すごく「夏子が生きてきた意味」が感じられるようになって、
軽さのないハッピーエンドに向かっていく感じがよくて、
読み終えた感触がよかったからです。
読み終えて調べてみると、文庫本の帯に村上春樹さんの言葉が出てきました。
まさにそうだよなって思えたのでした。