『子どもはミライだ!』(オオタヴィン著 木楽舎)より
第三章 夢みる小学校
まず、子どもから幸福にしよう
--------------------------------------------
2012年の文部科学省の調査では、
「普通学級に通う小学生の6.5%が発達障害」と発表されました。
発達障害は増えるばかりです。
発達障害と判定された子どもたちは、
特別支援学校や特別支援教室に移動させられる場合があります。
小学校入学前の幼い子どもに、
精神安定剤や睡眠薬などの「向精神薬」を処方している専門医が3割。
小学校低学年(1~2年)まで含めると専門医の半数を超えるといいます。
好奇心旺盛な子どもって、そもそも「多動」じゃないの?
「発達障害」って「病気」なんですか?
保育園までは、自分のことが大好きだった子どもも、
小学校へ行くと人と比較され、自分が嫌いになり、
ちょっと多動だと薬まで飲まされちゃうって、
大人の方がおかしくありませんか。
これにはホリさんも憤っています。
「今まで発達障害といわれきた子どもたちに、何人も入学してもらいました。
多くの子は僕からしたら、まったく普通の子ども、
担当の先生と折り合いが悪かったり、
学校の校風にうまくなじめなかったのかもしれません。
これを発達障害と呼び、薬を飲めと言われたら、
その子が受けるショックは大変なものなんですね。
発達障害と呼ばれるお子さんをこの学校に入れるときは、
ひとつ条件があります。
薬をやめてもらう約束をしてもらいます。
薬でおとなしくなっていても、それは“教育”じゃありませんから」
映画にもご出演いただいた
東京都世田谷区桜丘中学校の西郷前校長は言います。
「われわれ人間は、程度の差があっても全員が発達障害者なんです。
たまたま、その時に生きている環境が障害にならなければ、
発達障害とは言われないだけなんですよ。
例えば、あなたが軍隊に入って、非人間的に扱われたとしますよね。
こんなことはイヤだってなるでしょ。
そうすると軍の上層部から言われるのです。
”おまえは発達障害者だ!”とね」
僕は「発達障害」と言われている未発達の部分にこそ、
何か素晴らしい能力が眠っているのだと感じます。
不得意なことをやらせて均質化させるんじゃなくて。
楽しくて得意なことをどんどん伸ばせがいいんじゃないの。
子どもたちの宝物のような潜在能力が圧迫されている現実を、
かなしくおもうのです。
-----------------------------------------
3年生になってあまり来なくなりましたが、
2年生の時に、薬を飲んでいる子が、私の身近にもいました。
やんちゃで言うことを聞かない、普通の男の子です。
いうことを聞かないといっても、粘り強く向き合えば、
最終的には、いうことを聞いて、しぶしぶでもやります。
いまも、大変な子は何人かいます。
でもそれは普通でしょう。
「誰もが発達障碍者」ということばから、
私自身も発達障碍者なのだろうと思えます。
小学校低学年くらいまでは、多分多動だったのだろうと思います。
ただ、周りに自然がいっぱいありました。
サトシくんの好奇心を満足させる環境に恵まれていました。
昔気質のおじいちゃんがいて、かなり躾は厳しかったのだと思いますが、
かわいがられて育ちました。
利かん気、強情のまま、大きくなりました。
今でもそうですが、会社人時代も、ずっとKYでした。
逆に私のとり得は、長いものに巻かれる会社時代も、
KYを押し通したことだと、今は思えます。
ずっと分水嶺をを綱渡りのように歩いてきたのかもしれません。
環境に恵まれずにバランスを崩したら、
あらぬ方向に落ちていったかもしれないのです。
それでも何とか、ここまでやってくることができました。
だから、今の私にできるのは、
「まず、子どもから幸福にしよう」なのです。
私が通う場所も、あさってから夏休みに入ります。
これまでは午後だけだったのが、朝から夕方までのお勤めになります。
新一年生が入ってきてから、3カ月が経ちました。
ずっとお絵かきが人気です。
1年生にかぎらず、毎日何人もが、窓にくっついて写し絵します。
2年間でたくさんの絵を描いていたので、素材はたくさんありました。
書いてほしいものがあったら、書くからねと伝えていましたが、
ほとんどリクエストはありませんでした。
しかし、ここ2-3週間の間に、
いくつも書いてほしいというリクエストが出てくるようになりました。
2-4年生からのリクエストもあります。
1日1枚ということにしていますが、
先週は2枚描いたこともあります。
鬼滅の刃は、書いてあるものを写してはいますが、
今はほとんどリクエストはありません。
ポケモンもいっぱい描いたので、リクエストは稀です。
でも、ポケモンは相変わらず人気です。
最近多いのは、からぴち、呪術廻戦、
スパイファミリーやマイクラなどです。
マイクラというなんとも不思議なゲームが流行っています。
そして、そのなんとも不思議なキャラクターを描いてほしい
というリクエストが絶えません。
どこが境い目か分からない、ぼやーっとしたものを書くのが嫌で、
イヤイヤ、かなり適当に描きます。
それでも、多くの子が写して色塗りするのです。
私は、子どもたちと個別に遊ぶのはまれで、
全体を見ているのが主ですが、このお絵かきのおかげで、
子どもたちののびのび、イキイキに直接かかわることができています。
今日もまた、4つのリクエストをもらいましたが、
夏休みに入ると、丸一日の務めなので、描く時間がありません。
描くのは週末になるでしょう。
特別支援学級の子も何人かいるし、
ボーダーラインにいるような子もいます。
でも、見ているとそれは個性としか言いようがありません。
手のかかる子も、お絵かきをするとものすごく集中したりします。
別に、絵を描かなくても、それはOKです。
どんな形でも、子どもたちに心豊かな時間を過ごしてほしいのです。
そのために私にできるのは、こんなことなんです。
描いているときは、私も集中しています。
形をとるのも、色を塗るもの楽ではありませんが、楽しいです。
きりがみ・きりえほどではないですが。
絵を描くのは、自分からはしないので、
写し絵してくれる子どもたち、
リクエストをくれる子どもたちに感謝しています。