【学びの時間】得体のしれないものを見える化する

この『60代からの幸せをつかむ極意』(齋藤孝著 中公新書ラクレ)には、

大切なことがたくさん書かれていました。

幸いにも、今の私は、その大黒実践できているという実感がもてました。

いくつか書き出してみました。

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国連の関連組織が毎年公表している世界幸福度ランキングがあり、

それは、この6つの視点で調査されている。

  • 国民一人当たりのGDP
  • 社会的支援
  • 健康寿命
  • 人生選択の自由度
  • 寛容さ
  • 国への信頼度

この調査で日本は、2021年 150か国中56位です。

2020年 62位、2019年 58位なので、60位前後ということになる。

順位が低い理由は、

「人生選択の自由度」「寛容さ」が極端に低い

ということにある。

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これが意味するところは、

  • 多くの人が自分の人生を生きていない
  • ストレスや困窮で、生きることに精いっぱいとなり、他人に対する寛容さが失われている

そういうことかなと思えるのです。


この本は、

イギリスの哲学者・数学者で、20世紀最高の知性ともいわれる

バートランド・ラッセルの著書『幸福論』を読み解き、

著者が解説しながら進んでいきます。

 

バートランドラッセルはこういっています。 

「自分の内面を掘り下げるのではなく、関心を外部に向ける」

これは、考え過ぎず、行動を起こそうということだと思われます。

好きな事やりたいことをやっていくことが大事です。


そして、「競争」から降りよう、とも言っています。
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現代人が戦っているのは、生きるか死ぬかの生存競争ではなく、

成功のための競争に他ならない。

この競争に参加しているとき、人々が恐れているのは、

あすの朝食にありつけないのではないかということではなくて、

隣近所の人たちを追い越すことができないのではないかということである。

必要に迫られて競争を強いられているというより、

見栄や世間体のために進んで競争に参加しているということ。


退屈の反対は快楽ではなく興奮である。

退屈を恐れる必要はない。

私たちの生涯が人類の進歩に貢献できるかどうかは別として、

時間の使い道はいくらでもある。

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これが語り掛けてくれるのは、人と比べないということですね。

また、現代は、みんなが疲れています。

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「お疲れさま」が挨拶になるほど、私たちは日常的に疲れている。
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これは心身ともにということですね。

特に、心の疲れは深刻です。

 

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何の解決にもつながらない心配は、無駄だからやめよう。

例えば寝る前に、自分は部下から嫌われているとか、

次の人事で同期より上に立てるかどうかとか、

あるいは取引先は納期を守ってくれるかとか、

悩みだしたらキリがありません。

しかも結論の出る話ではないので、堂々巡りを繰り返しながら、

どんどんネガティブな発想に陥りがちです。

そうした負のスパイラルを遮断することができれば、

多くの心配事から解放されるはず。

つまり、疲れのもとと無縁になれるわけです。
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ラッセルが実践しているのは、意識から無意識に影響を及ぼすということです。


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例えば、何か重要な仕事があるとき、

それについて数時間から数日間だけ徹底的かつ集中的に取り組んだ後、

「この仕事を地下で続ける」と自らに命令する。

そうすると、「何か月か経って、そのトピックに意識的に立ち返ってみると、

その仕事はすでに終わっているのを発見する」と述べている。

これが本当なら、たしかに労力は限定されるので、

疲れも軽減されそうである。

しかし、そんなに都合よくいくのか、という気もするだろう。

私なりに解釈すると、

まず徹底的に考え抜くことで、底の「浅さ」がわかる。

大失敗した際に何が起きるかも想定できるはずなので、

それによって無意識の領域を落ち着かせることができる。

そしてもう一つ、

その仕事に関する知識・情報の核が脳内に蓄積されるので、

無意識のうちに外部の新しい知識の情報に対する感度が上がり、

迅速・正確に吸収しやすくなる。

結果として、多大な労力やストレスをかけることなく、

正しい判断を下しやすくなるのではないだろうか。

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中途半端にだらだら考えるのではなく、考えるときは集中して考え、

考え抜いたら、あとは手放すということです。

幸いにも、私には、不安というものはあまりありません。

しかし、なんだかモヤモヤ気になることがあったりします。

その時に、その正体は何だろうとじっくり考えると、

そういうことだったら大丈夫だと思えるのです。

漠然とした不安の正体を見極める、見える化すると、

底の「浅さ」がわかったり、対応策が見えてきたりします。

 

さらに、こう続いています。
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悩みのタネを徹底的に直視し、「最悪の事態」を想定すること。

そうすると「最後には自分の悩み事がすっかり消えて、

その代わりに一種のうきうきした気分が生まれてくることを発見するだろう」

とまで(ラッセルは)述べている。

例えば、中年層にとって大きな心配事といえば、リストラがある。

あるいは会社そのものが倒産してしまう可能性もゼロではない。

いずれにせよ職を失うわけで、できるだけ想像したくないところである。

では、そこをあえて直視して、「最悪の事態」を想定するとどうなるか。

当面の生活費をどう手当てするか。

今の住居に居続けられるか。

再就職先は見つかりそうか。

いざとなったらだれに頼れるか等々、

考えるべきことは山のようにあると思います。

その一つ一つに自分なりの答えを探ってい行くと、

案外「なんとかなりそう」という結論に達するのではないだろうか。

だいたい、社会保障制度もある程度は整っている今の日本において、

急に路頭に迷ったり植えたりすることはめったにないと思われる。

そう理性的に整理することが、

先の「うきうきした気分」につながるわけだ。

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というわけです。