【感じる時間】幸せな孤独③ 歳を重ねたからこその手前味噌

引き続き『幸せな孤独』(前野隆司著 アスコム)

の学びから感じたことの続きです。

 

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年代別の幸福度を追ったイギリス政府の調査でも、

先進国において幸せは若い頃にもっとも高くなり、40代で低くなります。

そして高齢になると再び上昇するU字型のカーブを描く人が多い

という結果が出ています。

イギリスのエコノミスト誌は、

「年を重ねると争いごとが少なくなるだけでなく、

争いに対してよりよい解決法を見出せる。

感情をコントロールして怒らなくなる。

死が近づくことで今を生きることがうまくなる」

と分析しています。

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しかし、日本でもU字型になるという調査もある一方、

L字型に近いカーブになり、

高齢になっても幸福度がそれほど上がらないというデータがあるようです。

 

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「暴走老人」「わがままじいさん」「正論じいさん」、.....。

日本では病院の受付で怒鳴ったり、

飲食店のサービスに何かと文句をつけたり、

自分の考えを押し通そうとしたり、

ひどいときには、

暴力行為におよんでしまう高齢者が問題になることがあります。

 

一方で、欧米では年をとるほど、性格が穏やかになり、

優しい人になるという根強い考え方があり、

科学的にも結論づけられています。

 

法務省の犯罪白書(2019年度)を見ると、

何らかの犯罪で摘発された65歳以上の人は、

1989年の2.1%に比べて、2018年には21.7%まで増加しています。

また、犯した罪のなかでも、

暴行障害は1989年の2.9%から13.5%まで増えています。

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問題はじいさんなのですね。

ばあさんは、あまり問題にならないようです。

なぜ、じいさんが問題になるのでしょうか?

 

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高齢になると、脳の前頭葉の機能が低下することで判断ミスをしたり、

感情のコントロールが利かなくなったり、

怒りやすくなったりすると言われています。

しかし、不機嫌な高齢者が増えている原因は、

脳の機能の低下だけとは言い切れません。

社会的な背景も関係ていると考えられます。

家長が存在する家族制度が機能していた時代は、

家庭では女性の立場が弱く、男性に逆らうことは難しいものでした。

しかし、いまでは妻の立場が強い家庭が増えています。

そのため、男性が家庭で孤立する傾向があります。

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そもそも、江戸時代の女性の地位は、低くはなかったと言われています。

明治以降進められた富国強兵、その後の経済優先社会が、

家庭のあり方をゆがめてしまったのではないか、

私は、そう思っています。

それによって、偏った男子優遇の育て方が蔓延したことで、

こんなじいさんが生まれてしまったのではないかと思います。

 

私も長男として、あるいは跡取り息子として、

ある意味ちやほやされた私への待遇は、

どうせ嫁に行く妹とは違っていました。

明治生まれのおばあちゃんは、

「女には教育は必要ない)と言っていました。

それを聞いて、妹が憤慨していたのを覚えています。

私にとってはとってもいいおばあちゃんでしたが、

妹にとっては、それほどでもなかったのかもしれません。

その度が過ぎると、男は偉いと錯覚し、

家事は女に押しつけるということになります。

私も、還暦まで家事をほとんどしなかったな。

 

いまだに、じいさんやおじさん方のあり得ない発言や行為が絶えません。

たとえば、「田舎出の生娘、中毒」といった発言です。

 

幸いにも、私は、まだ、そんな問題じいさんにはなっていないようです。

ありがたいことに、そんな私に対して、

「Solさんの生き方、かっこいい!」

と言ってくれる人(女性)が、少なくとも二人いることが最近わかりました。

 

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職場も以前は、年功序列で、昇進・昇給が年齢に比例して上昇していました。

しかし、今では能力がなければ昇進は出来ず、

自分より若い社員が上司になることも増えています。

長い間、会社に貢献してきた高齢の男性にとって、この状態は不満であり、

居場所をなくし、多様な孤独感を抱え込むことになります。

 

対策の一つが、定年前から仕事以外で友人を作る機会を増やすことです。

定年までは仕事に全力を尽くしたいと考えがちですが、定年を迎えると、

そこで築いたほとんどの人間関係はすっぽりなくなってしまいます。

社会的孤立に陥る前に無理のない範囲で、

定年後も続く関係づくりをしておくことをおすすめします。

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経済優先、お金を稼ぐことが幸せの条件のような時代が長く続きました。

そんな長い会社人生で、男の勘違いは深まります。

会社という箱から出た「箱入りおじさん」の行く末は、

孤独感、喪失感ではないでしょうか。

「定年を迎えると、そこで築いたほとんどの人間関係はすっぽりなくなる」

幸いにも、私はそのことに早めに気づき、定年退職する5年前に、

「会社人から社会人になろう」と思い、サードプレイスに出かけていきました。

その結果たくさんのご縁をいただいて今に至っています。

 

 

私は自己中でした。

その時には自分が満たされていなかったのだと思います。

だから、人のことが考えられなかったのです。

しかし、歳を重ねて、自分が大事という気持ちは変わらないものの、

自分が大事であるからこそ、

人も自分が大事なんだということがわかってきました。

とくに、子どもたちとずっと一緒に過ごしていると、

子どもの生き方が本来の人間らしさではないかと思えます。

そして、彼らから自分を元気にしてもらえます。

 

以上、手前味噌でした。

 

手前味噌とは、

「自家製の味噌を独特の味があると自慢する意から、

自分で自分のことをほめること」

と辞書には書いてあります。

 

自己中は、他人がどう思おうと自分勝手ですが、

手前味噌は、食べてくれる人、

おいしいと言ってくれる人がいないと成り立ちませんね。

 

写真に意味はありませんが、

リンクしてシェアしたときに、写真があった方が見栄えがいいので、

散歩中に撮った写真を適当に貼っています。