【錦鯉の独り言】選んだ道は選び直せるはず

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私たちは、昭島市の下の川というところで、ゆったりと生活しています。

 

下の川はこんな場所です。

(1) 昭島観光まちづくり協会 - 投稿 | Facebook

多摩川から取水している昭和用水(農業用水)の一部を取り込み、

数か所から湧き水も流れ込んでいます。

通称「下(した)の川」と呼ばれ、東京の名湧水57選にも選ばれました。

周辺には遊歩道が整備され、散策コースとして親しまれています。

 

私たち人間に飼育されている錦鯉の寿命は、約30歳だと言われていますが、

飼い方次第では、70~100歳まで生きることができるようです。

 

下の川に住む私たちは、こうやって、仲間とつかず離れず、

ほどほどの心地よい環境で、変なストレスもなく、

毎日その時、その時を楽しんでいます。

そんな私達ですから、

たぶん人間と同じくらい長い人(魚)生を贈るのではないでしょうか。

 

川にやってきたある人がつぶやくのを聞くと、

人間の人生って想像できなくらい複雑なんだなあと思います。

 

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ある小学校の放課後子ども教室のことです。

そこには、決まった曜日、それも毎週ではなく、

月に2~3回やってくる一人の高学年の女の子がいます。

いつも一人ぽつんとしています。

声掛けしても、首をかしげるだけで一言もしゃべりません。

何か月も何か月も、彼女の声を聞いた大人はいませんでした。

 

そんな彼女が、ここ2~3か月、

同級生の友だちと一緒にやってくるようになりました。

友だちとは楽しく会話し、いろんな遊びをし、

校庭や体育館にも行くようになりました。

そこで初めて、彼女の声を聞きました。

ほっとしました。

 

しかし、大人とは話せません。

教室に忘れ物をしたので、帰りに取りに行きたいということを、

その友達を通して聞いてきます。

確認したいことがあったので、本人に直接聞くと、

顔つきが不安そう、おどおどした感じになって、

とても簡単であるはずの意思表示ができない、声が出ないのです。

彼女には、他人には想像しがたい何らかの深いトラウマがあるのでしょう。

否定され続けてきたのかもしれません。

 

彼女は高学年生でありながら、いつもずっとお母さんがお迎えに来ていました。

友だちと来るようになってからは、友だちと一緒に帰るようになったのですが、

その日は、お母さんが迎えに来るそうでした。

お母さんが迎えに来てから、お母さんに話して、先に帰ってもらって、

二人で一緒に帰るつもりであることのようでした。

 

実は、そのお母さんの声も私たちは聞いたことがないんです。

一切なんの挨拶もなく、問いかけても反応がありません。

 

放課後子ども教室に来ている子どもたちの多くは、

小学校低学年が多いこともありますが、

ほとんどが元気で、屈託がありません。

お母さん、お父さんも明るく元気な方が多いのですが、

中には、ちょっとあれっと思うお母さん方もいるもの確かです。

一般的には、信じがたいくらい社会性のない方もおられます。

 

そこには、ある傾向があって、子どもが幸せかどうかは、

家庭事情が大きく関係していることが、肌感覚でわかります。

親が子どもの人生に及ぼす影響は計り知れないなと感じます。

だからと言って、彼女のお母さん、まだ会ったことのないお父さんを、

勝手な思い込みで責めることはできません。

親にも、人それぞれに、生い立ちや生きる辛さはあるからです。

 

先日のドリームマップでも、ある中学生女子の発表がすごく心に残っています。

 私に友だちはほとんどいません。

 家庭にいい思い出はありません。

 それでも、私は温かい家庭を作りたいです。

 多くの人と知り合ってつながりたいです。

 

どんな子も、放課後子ども教室にいる間は、

ドリームマップをやっている間は、

その子のことを最大限に認めてあげたいです。

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私たち錦鯉には想像もつかない人間社会があるんですね。

人間の社会って、昔からずっとそうだったはずではないですよね。

どこかで行く道を間違えたのなら、

自分たちで違う道を選び直すことはできるはずですよね。