<Episode> しつけを考える⑧ ガマン比べ

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この写真、特に意味はない。

ただ、いつもハートメガネをかけて、

子どもたちと一緒にいたいなと思っている。

 

その子が、なぜそうするのか、そこにはワケがある。

彼には満たされていない状況がきっとある。

それは、「しつけ」と言えば、たぶんそうなのだろう。

それも、ある程度は想像できるが、

学童保育で働く私たちには、そのワケについてはなんともできない。

正直、どう接すればいいのかわからない。

できることは、しっかり向き合い、寄り添うことだけなのだろう。

 

騒動は、些細なことで起こる。

DVDの何を観るかで、もめる。

その子が観たいものが、他のみんなと違っている。

 

その子の性質として、

  • ボクの欲しいものは絶対!
  • ボクのやりたいことは、何が何でも!

そんな傾向が、かなり強いのは確か。

 

自分の思いは叶えられない。

みんなからいじめられた、ボクだけのけ者にされた、....

感情が高まり、それが抑えられなくなると、

みんなが座って観ているテーブルを、

足で蹴って押して大きく動かす。

すごい形相になっている。

 

放っておくと、

そこらじゅうのものをひっくり返し、ぶちまけ、

壁についているものを引っぺがし、破り、

仕返ししてくる子には、髪を引っ張ったり、頭を壁や床に押し付けたり、

なにせ、人一倍力が強いので、けがをさせてしまいそう。

これまでに、けがをさせたことはないけれど、

見ているととても危ないので、そういうときは、引き離す。

 

そうならないように、

足がテーブルに届かないように、

手が、ものに触れないように、押さえつける。

足が自由だと、思いっきり蹴ってくるので、たまらない。

なので、腹にまたがり、膝で腰を固める。

両腕を床に押さえつけて、身動きができないようにする。

正直、ここまでやったのは、今日がはじめて。

 

「こわしてもいい、しかえししてもいい、なにしてもいい、

みんながわるいから、みんながボクをいじめるから、....」

「ものを壊されるのはイヤだよ、仕返ししたらケガするよ、

悪い子たちとは遊べないね、....」

泣き叫び、暴れ、「バカ! ジジイ! はなせ!....」

 

「これなら、いくらでもこわしていいよ!」

本人の工作物の箱を指す。

「いやだ」

本人は、絶対にそれに触れようとしない。

「自分のものは、壊さないんだね」

 

これが、ずーっと続いていく。

 

それにしても、強情で、すごい力、そして、すごいエネルギーだ。

 

そんなに長い時間とは思えなかったが、後で時計を見ると、

相当長い時間、彼と1対1でガマン比べをしていたことになる。

 

「ものを壊さない、仕返ししないのなら、放してあげるよ」

「いやだ、みんながわるいんだから」

 

しばらくして、「わかったよ」という言葉が出た。

「なにがわかったの?」

「やっぱり、ボクはわるくない」

 

やっと、

「わかったよ、こわさない、しかえししない」

「約束するね」

「うん」

 

自由にすると、みんなの横に行って、

おとなしく一緒にビデオを観ていた。

それからは、なぜか、自分の工作物の箱の中身を、

丁寧に整理し始めた。

そして、楽しそうにポケモンの話で盛り上がりながら、

みんなと一緒にご機嫌にお弁当を食べた。

 

放っておけば、さんざんにものをぶちまけて、

気がすんだら、おとなしくなる。

しかし、いつもそれさせるわけにはいかない。

 

正直どうしてよいのかわからない。

他の大人にも、妙案はなさそうだ。

 

ハートのメガネで見れば、

  • 意志が強い
  • 好きなものがある
  • がんばれる
  • エネルギーがある
  • 持続力がある
  • 子どもらしさあがる

などなど。 

 

本人は、わかっているけど感情をコントロールできていない。

そう感じている私にとって、いまのところ、

こんなガマン比べしか方法はないのかなと思っている。

 

彼にとって、たまっているものを発散できる場所がある。

それだけでもいいのかなと思う。

いずれにしても、時間をかけてヨロ層しかなさそうだ。