この写真、特に意味はない。
ただ、いつもハートメガネをかけて、
子どもたちと一緒にいたいなと思っている。
その子が、なぜそうするのか、そこにはワケがある。
彼には満たされていない状況がきっとある。
それは、「しつけ」と言えば、たぶんそうなのだろう。
それも、ある程度は想像できるが、
学童保育で働く私たちには、そのワケについてはなんともできない。
正直、どう接すればいいのかわからない。
できることは、しっかり向き合い、寄り添うことだけなのだろう。
騒動は、些細なことで起こる。
DVDの何を観るかで、もめる。
その子が観たいものが、他のみんなと違っている。
その子の性質として、
- ボクの欲しいものは絶対!
- ボクのやりたいことは、何が何でも!
そんな傾向が、かなり強いのは確か。
自分の思いは叶えられない。
みんなからいじめられた、ボクだけのけ者にされた、....
感情が高まり、それが抑えられなくなると、
みんなが座って観ているテーブルを、
足で蹴って押して大きく動かす。
すごい形相になっている。
放っておくと、
そこらじゅうのものをひっくり返し、ぶちまけ、
壁についているものを引っぺがし、破り、
仕返ししてくる子には、髪を引っ張ったり、頭を壁や床に押し付けたり、
なにせ、人一倍力が強いので、けがをさせてしまいそう。
これまでに、けがをさせたことはないけれど、
見ているととても危ないので、そういうときは、引き離す。
そうならないように、
足がテーブルに届かないように、
手が、ものに触れないように、押さえつける。
足が自由だと、思いっきり蹴ってくるので、たまらない。
なので、腹にまたがり、膝で腰を固める。
両腕を床に押さえつけて、身動きができないようにする。
正直、ここまでやったのは、今日がはじめて。
「こわしてもいい、しかえししてもいい、なにしてもいい、
みんながわるいから、みんながボクをいじめるから、....」
「ものを壊されるのはイヤだよ、仕返ししたらケガするよ、
悪い子たちとは遊べないね、....」
泣き叫び、暴れ、「バカ! ジジイ! はなせ!....」
「これなら、いくらでもこわしていいよ!」
本人の工作物の箱を指す。
「いやだ」
本人は、絶対にそれに触れようとしない。
「自分のものは、壊さないんだね」
これが、ずーっと続いていく。
それにしても、強情で、すごい力、そして、すごいエネルギーだ。
そんなに長い時間とは思えなかったが、後で時計を見ると、
相当長い時間、彼と1対1でガマン比べをしていたことになる。
「ものを壊さない、仕返ししないのなら、放してあげるよ」
「いやだ、みんながわるいんだから」
しばらくして、「わかったよ」という言葉が出た。
「なにがわかったの?」
「やっぱり、ボクはわるくない」
やっと、
「わかったよ、こわさない、しかえししない」
「約束するね」
「うん」
自由にすると、みんなの横に行って、
おとなしく一緒にビデオを観ていた。
それからは、なぜか、自分の工作物の箱の中身を、
丁寧に整理し始めた。
そして、楽しそうにポケモンの話で盛り上がりながら、
みんなと一緒にご機嫌にお弁当を食べた。
放っておけば、さんざんにものをぶちまけて、
気がすんだら、おとなしくなる。
しかし、いつもそれさせるわけにはいかない。
正直どうしてよいのかわからない。
他の大人にも、妙案はなさそうだ。
ハートのメガネで見れば、
- 意志が強い
- 好きなものがある
- がんばれる
- エネルギーがある
- 持続力がある
- 子どもらしさあがる
などなど。
本人は、わかっているけど感情をコントロールできていない。
そう感じている私にとって、いまのところ、
こんなガマン比べしか方法はないのかなと思っている。
彼にとって、たまっているものを発散できる場所がある。
それだけでもいいのかなと思う。
いずれにしても、時間をかけてヨロ層しかなさそうだ。