<Tip & Episode> 「しつけ」を考える③ 話を聞けない子どもたちと

学童保育では、17時より少し前に、いったん遊びを終了し、

片づけをして、ランドセルを2階から持って下りて、

連絡帳をランドセルに入れて座り、

「お帰りの会」となるのが日課になっている。

 

当然ながら、遊びをすぐにやめられない、片づけができない、

そういうことは日常茶飯事。

 

さらに、お帰りの会で起こるのは、

静かにできない、話が聞けないということ。

 

当然、できる子(特に女の子)もいれば、

出来ない子(男の子の多く)もいる。

 

静かにできない、話が聞けないのは、男の子の大半だけど、

そこにはいくつかのタイプがある。

甘えや、自分の興味以外には関心がない子が多いと思われるが、

中には、多動・注意欠陥的な子がいるのも否めない。

 

こう言う子たちと一緒にいると、「しつけ」って何だろうと思えてくる。

けじめや行儀、メリハリ、思いやりは、とても大切なこと。

 

でもね、見ていると、大人の「辞書」と子どもの「辞書」は

違うということに気づく。

「危ない」という言葉の意味は、大人の辞書にはいろいろ書いてあるけど、

子どもの辞書には、ほとんど何も書かれていないのだろう。

 

正直、小1-2年生の子どもたちを、図書館やどんぐり拾いに連れていくのは大変。

勘弁してほしいのである。

並ばない、むやみに走る、白線は気にしない、ふざけまくる、

車が来るのに、車道に向かってかけっこの用意ドンの構えをわざとする、

先日は、学童に来る前に、道で靴をけって飛ばして遊び、

靴が停まっている車に当たったり、人の邪魔になったり、

あげくの果てには、

隣の家の木の2階くらいの高さの枝に靴がひっかかって取れなくなったり、...


こんな子たちに、お帰りの会の時に、

「危ないから道路で遊ばない」「白線から出ない」などなど

言っても、どこ吹く風。

その出来事を思い出し、誰それが何をしたとか、こんなことがあったとか、

思い思いに叫び始めるのである。

言うことを、まったく聞いていない。

それは、やはり、彼らの辞書には、大人の言うことが書かれていないのだから。

 

でも、それは一律ではなく、子どもそれぞれの辞書も違っている。

すぐにできるようになる子もいれば、そうでない子もいる。

だから、できるようになるには、子どもによって時間軸が違う。

大人になっても、いや10歳を超えてもできない子は、

よほどのことがない限りいない。

 

だからこそ、前回の引用の中にあるこの言葉が、

日々学童保育にいる私にとっては、とても大事なこと。

「子どもにさせようとしている、そのことが、

子どもがすぐにできなくてもいいのに、

今すぐにできなくてはならないと勘違いしていないか」

 

ドリームマップ授業に行くと、

物事をわきまえるようになった小学校高学年、

そして中学生たちは、逆に自己肯定感が低くなってしまうということ。

この子たちには、高い自己肯定感を維持してほしいなと思うのである。

 

さらに、
『お母さん「あなたのために」と言わないで』長谷川博一著

には、このようなことばが書かれていた。

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いま、早期の「しつけ」でもっとも注意を払わなくてはならない問題は、

それがしつける側の「おしつけ」となってしまい、

思春期以降に、「つけ」というかたちで、

子ども自身に降りかかってこないようにすることです。

「しつけ」→「おしつけ」→「つけ」といった

望ましくない道筋をたどる危険性が、

少子化時代にはどの家庭にも存在するということを

知っておいていただきたいのです。

家庭の教育力は、第一に子どもの自発性や機能が優先されるべきなのです。

家庭の教育力は、母性的な親子関係から始まり、

成長とともに父性が加わり、

最終的には社会という厳しい父性原理の中で適応できるようになるという、

一連の流れの中で検討されるべきものなのです。

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「しつけ」は「おしつけ」であってはならない。

自分自らが、「そうしよう」と思ってやれるように、

どうしたらできるかを試行錯誤することが、

「しつけ」というものではないか。

そう思えるのである。

 

このブログのタイトルは「話を聞けない子どもたちと」

だけど、そんな子どもたちも、みんなが話が聞ける場面がある。

それが、私が毎日「お帰りの会」の最後にやっている

「てらこや_おはなしのじかん」

別名「ソルのおはなし」

なのである。

 

絵本を読んであげると、私語もなく、本当に注目して見て聞いている。

だから、やるほうも、図書館通いが習慣となり、

絵本選びが楽しくて仕方がない。

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