今日書くのは、働く、労働についてです。
『生きがいとは③』の続きになります。
図書館で借りて読んで、
自分で買った(中古本)この本に
こう書かれています。
-----------------------------------------------------------
労働とは何か。
労働が最低限度の経済価値を持つためには、
どういう原則にのっとってなされなければならないのか。
そう考えると「人に喜んでもらえるような仕事の仕方をする」
ということが労働が経済価値を持つ原理であり、
原点であるということになります。
つまり、労働が最初の目的としているものは金銭ではなく、
人に喜んでもらえるような仕事の仕方をするということなのです。
その結果として入ってくるものが金銭なのだ
という順序で考えなければなりません。
(中略)
労働の原点に立ち返って、哲学的に考えると
「自分は自分を本物の人間に鍛え上げるために働くんだ」
「ほんものの人間になったレベルに応じてお金は入ってくるんだ」
という新しい価値観が出てきます。
そうなってはじめて、
経済は「人間のための経済」という実態を持ち始めるのです。
---------------------------------------------------------------
この「人間のための経済」というのが、
いつのころからか、
「お金儲けのための経済」
「企業のための経済」
に変わってきました。
今も多くの人が「人間のための経済」ではないものに
苦しめられ、疲弊しています。
本来の「人間のための経済」になっていくには、
どうしたらいいのか、それをずっと考えています。
『生きがいとは①-②』で引用した
『今こそ日本人の出番だ』の中で、村上和雄先生は、
日本人の労働観について書かれています。
要約と私のコメントも入れて書いてみました。
日本ではひと昔まで、働くということは、
世のため人のためになることでした。
しかし戦後、欧米の思想に影響されて、
日本の労働観も変わってしまったのです。
・ アダムとイブは禁断の木の実を食べたことで、
人間は知恵を手に入れた代わりに、楽園を追い出され、
貧しい土地を耕して生活していかなくてはならなくなった。
・ レイバー(労働)は、
ラテン語の「ラボール(重い荷物を背負いながら歩く)」、
フランス語の「トラバーユ(働く)」は、
「トリバーリアーレ(拷問)」が語源。
・ 日本の神話では、神様が田んぼをつくったり、機織りをしている。
・ 今も天皇陛下は、田植えや稲刈りをし、皇后陛下は養蚕をなさっている。
・ 日本の「はたらく」は「はた(傍)」を「らく(楽)」にすること。
働くことは、自分のためだけではなく、まわりの人たちの役に立つこと。
・ 日本人にとって、労働は単に報酬を得るための手段ではなく、
尊い行為であって、それぞれが自分の仕事に誇りと喜びをもっていた。
すなわち、欧米では、労働は罰であり、
日本では、労働こそが生きがいだったわけです。