『パパは脳研究者』(三谷宏治)より
---------- 抜粋 ------------
ヒトにとっても報酬は、目に見える報酬だけでなく、
心理的報酬がある。
- お母さんが喜んでくれるから嬉しい
- 片づけたら部屋がすっきりして気持ちがいい
など。
ほめることで内面化が成立するまでには、3つの段階がある。
- 「外発的強化」 直接ほめること
- 「代理強化」 兄弟や友だち、周囲の人がほめられるのを眺めること
- 「自己強化」 自分で自分をほめること
基本的には、1 → 2 → 3の順に成長する。
だから、自分の子どもが今どの段階にいるかを見極める必要がある。
- 片づけについては段階1
- 靴をそろえるのは段階2
など。
「ほめる」ということは本当に難しい。
よく絵を描く子どもに「上手に描けたね」「えらいね」
などと声掛けするほめ方は、感心しない。
絵を描く子は、描きたいから描いている。( = 内発的動機)
内発的動機には根拠がない。好きに理由などない。
それなのに、まわりの大人は、ついついほめてしまう。
すると、「絵を描くのが好き」ではなく、
「ほめられたいから描いている」と、
自分の行動の意味が変化してしまう。
単にほめられたいだけなら、他のことでもいい。
だから「絵を描く」という手段を選ばなくなる。
これはもったいないこと。
ほめたいからほめる、しかりたいからしかる。
これは単なる親のエゴ。
そんな難しいことを言われても戸惑うばかりなので、
心がけるのは、「笑顔で子どもに接する」ということ。
片づけなくて困ったときは、イライラして、怒鳴っては逆効果。
ぐっと気持ちを抑えて、笑顔で楽しそうに、
まず自分から片づけをはじめてみよう。
それだけで、子どもは寄ってくる。
遊びでも家事でも、親が楽しそうにやっているものに、
子どもは自然と興味を持ち、マネをしたがるもの。
自発的に行動してもらうためには、
否定語を避け、できるだけ肯定的ないい方にする。
- 「おもちゃを片づけないと、もう遊ばせない」→「おもちゃを片づけて、また今度遊ぼう」
- 「歯を磨かないで寝ちゃダメだよ」→ 「歯を磨いてから寝よう」
- 「あと1ページ描きたい」のときは、「もう1ページ描いたら片づけようね」
子どもは親の発言に敏感。
感情に任せたしつけは、教育ではない。
親のほうも「今の声かけでよかったか」と一つ一つ吟味する。
子どもに反省させるときは、大人もまた反省しなくてはいけない。
- 歯を磨かないで寝ようとするのはどうしてなの?
- どうしてもっとお絵かきを続けちゃったの?
と丁寧に理由を聞く。
自己否定的な人よりも、自己肯定的な人のほうが魅力的。
ネガティブなことばで自分を卑下するより、
ポジティブなことばで自分を鼓舞するほうがいい。
わが子にも、将来は、自己肯定的な人に成長してほしいもの。
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今日もまた、すごく忙しい学童保育の時間でした。
6-7歳の子ども約10人が、思い思いのことをすれば、
大変なことになります。
本人たちは、それぞれが好きなことをやっています。
逆にいえば、それができる学童保育でもあるのです。
そこここで、
- あれがいる、これしてくれ
- 騒ぎまくる
- 超やかましい
- 言うことを聞かない
- ケンカする
- ビービーなく
- 物を勝手にとる
- 物をこわす
- .................
そんな状況のなか、
ここに書かれていることは、その通りだと思っても、
なかなかそうはいかないのです。
大人だって生身の人間ですから。
でも、たぶんそれでいいのでしょう。
子どもも大人も、不完全な生身の人間として接するのが必要なんだ、
と、私は、そう思います。
大人にとって必要なのは、
- 子どもも生身の人間であるということを忘れないこと
- それは、すなわち、子どもに学びを求めるだけではなく、大人も失敗しながら学んでいくということ
- 子どもは、これから伸びしろのある人間であることを忘れないこと
- 子どもたちが成長するうえで必要な社会的なことをしっかり伝えること
そんなことではないかと思います。
そのために必要なことを、この本は伝えてくれています。