『あなただけの人生をどう生きるか』渡辺和子著
この本の中にあった” 泥かぶら " のものがたり、
いたく感動というか、身に沁みるものでした。
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真山美保の「泥かぶら」という劇をご存知の方もおいでになるでしょう。
非常に醜いがゆえに人から、” 泥かぶら " とあざけられ、
からかわれて、身も心もすさんでいく一人の娘がおりました。
そして、その日も、はやしたてる村の子どもたちを、
竹の棒をふりまわしながら追いかけている時、
一人の旅の老人が通りかかり、
「おまえが、そんなに美しくなりたいのなら、
次の三つのことを来る日も来る日も守ってごらん。
そうすれば、きっと美しい人になれる」
- いつもにっこり笑うこと
- 人の身になって思うこと
- 自分の醜さを恥じないこと
その日から泥かぶらの自分との闘いが始まりました。
何度もつまずき、志を翻そうとしながら、
美しくなりたい一心で、
この三つのことを守る泥かぶらの顔から、
いつしか険しさが消え、
村の人びとからは、お遣いに、子守りにと重宝がられて、
やがて村の人気者になります。
そんなある日、この村に人買いがやってきました。
泣いて嫌がる娘、そして悲しむ両親、
その人たちに、自分が身代わりになることを告げて、
泥かぶらは、その人買いに買われていきます。
道すがら、村の人々がどんなに親切で、
村の子たちがどんなにかわいいか、
顔をかがやかせて話す泥かぶらに、
鬼のような人買いの心は、
温かい人の心に変わってゆくのでした。
そしてある日、
泥かぶらを置き去ってゆく人買いが残した一通の書き置きの中には、
「もうお帰り、仏のように美しい子よ」
と書かれていたのです。
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今の社会では、まったく逆のことが起こっていると感じています。
- いつも眉間にしわを寄せている
- 人の身を守ることに精一杯
- 常に人との比較で落ち込んでしまう
幸いにも、私の会社時代の終わりの10年くらいは、
職場の雰囲気という意味では恵まれていました。
ある一時期の、ある一人の上司以外は。
しかし、Sol Cafeほかで私が聴く話の中では、
- いつも不機嫌な人が多い
- 自分の身を守ることに精一杯
- それがゆえに、人の目がとても気になる
という職場の人たちが多いようです。
それに対して、私ができることは、残念ながらありません。
唯一できるのは、その人の話を聴くことだけです。
直接何もできなくても、
今の子どもたちが大きくなったとき、
同じ状況にならないように、
なっても、自律して対応ができ、
人間らしい豊かな人生を送ることができるように、
子どもたちと接していくことが、
今の自分に課されたミッションだと思っています。
そして、子どもたちが大きくなった時、
不機嫌で、自分のことで精一杯、人の目が気になる
そんな大人になってほしくないんです。
子どもたちと一緒のときにも、この三つは大切だと思います。
- いつもにっこり笑うこと
- 子どもの身になって思うこと
- 子どもたちを一人ひとりの人格として、自然体の自分として接すること
この物語を読むと、目頭が熱くなります。
感動して終わりではなく、泥かぶらのように、
この三つをしっかり実践していくこと、
その大切さを、今回改めて感じています。