子どもが子どもらしく成長できる社会を③

昨日の日曜日、府中市で行われたシンポジウム参加しました。

ドリマのやまねーさんのおかげで、

府中の市民活動センター・プラッツにご縁ができています。

 

12月30日に国立で、ドリームマップを描いたことからのつながりで、

そこで知り合ったカッキーから、このシンポジウムのことを聞きました。

特に予定のない年明けの日曜日、即決で行くことにしたのです。

もともとは、こんなタイトルでした。

  府中市市民協働シンポジウム 湯浅誠 講演会

  「子どもたちの未来へ、今 私たちができること」

私の描いた夢にぴったりでした。

 

府中市には、市民提案型協働事業という制度があるようです。

今回のシンポジウムは、子どもの居場所@府中という団体が主催で、

府中市が協力する形で実現しました。

 

府中市長のあいさつに始まり、湯浅誠さんの

「子ども食堂と子どもの貧困 どう関係しているのか」

についての講演、質疑応答がありました。

 

私は、湯浅誠さんは名前だけしか知りませんでしたが、

すばらしいなと感じました。

わかりやすく、とっても納得考えられました。

 

子ども食堂は、貧困対策ではあるのですが、

貧困対策を前面に持ってくると成り立たないのです。

 

子ども食堂は、いま全国に3,000か所くらいあり、急速に増えています。

ここ2年で2,000か所くらい増え、府中市でも、半年で3つが7つになっています。

湯浅さんの目標は、23,337か所(21,377カ所?)だそうです。

一つの小学校区にひとつの子ども食堂をつくるということ。

 

子ども食堂に触れたことがないだけに、

それらを知るだけでも、参加した意味はありました。

 

ポイントは、Today's Tipで一緒に掲載したこれです。

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<地域交流の促進>

 人と人がふれあう

 やさしくてあったかい

 にぎわいを

 地域に創る

 

<子どもの貧困対策>

 このときに

 お金やつながりなく

 にぎわいからはじかれる

 子どもをつくってはいけない

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 7人に1人の貧困の子どもたちがいるといわれます。

しかし、湯浅さんが、全国で誰に聞いても、

そんな実感はないという結果でした。

私にも、そのようには見えません。

 

そこで、「黄信号」と「赤信号」の話が出てきました。

赤信号は、問題が起こるから目立ちますが、

黄信号の場合、外からもそれが見えないし、

本人たちも、自分は普通だと思っているというのです。

 

たとえば、お金がなくて修学旅行に行けない

ということが起こります。

修学旅行に行けないからと言って、

学校をやめなければいけないとか、

進学できないとかいうことはありません。

 

修学旅行には行けないという一つの事実があるだけで、

後は普通です。

学校にも行っているし、制服も着ているし、

ゲームやケータイといった持ち物も

人並みに持っていたりします。

 

しかし、そこで分断が起こることによって、

赤信号に向かっていくようになります。

 

修学旅行に行くためには、グループでの行動をするために、

グループ分けや、行ってから何をするかの事前準備があります。

その子は、それに参加できません。

また、帰ってからも、作文や振り返りなどがあり、

話題は、修学旅行の話になりますが、

そこにも参加できません。

 

そうなると、本人がいじけたり、斜に構えたり、

友だちとのつながりが途切れ、いじめも起こりやすくなります。

高齢者の例も出されました。

年金暮らしでお金が十分にないと、

食べていくくらいならなんとかできる(黄信号)のに、

冠婚葬祭などの交際費が出せずに、

お世話になった人のお葬式にも行けなくなります。

お葬式に行けないという事実だけで、あとは普通です。

しかし、どのつながりの分断から孤立していって、

赤信号(認知症でゴミ屋敷など)になっていきます。

子どもの場合も、家庭にお金が十分ない場合、

同じように孤立や分断が起こりやすいということです。

 

赤信号になると、手間暇、量力、時間、お金が膨大にかかります。

だから、黄信号の段階で予防しなければならないのですが、

周りも黄信号だと気づかず、本人も普通だと思っているので、

適切な対応ができないのです。

 

黄信号の人は、個別相談所のような赤信号対応の施設には行かないし、

食べるお金が十分にない人のために食事を提供します

と言うかぎり、そんなところには来ないのです。

ではどこに行くのかというと、”青信号の顔をしていけるところ”なんです。

だから、「子ども食堂」は、誰でも行ける場でないといけないわけです。

 

逆に、子ども食堂は、貧困対策であるわけなので、

それを運営している人たちが、ほんとうに来てほしい人の

役に立っているのかという実感があまりないようです。

それは、来ている人みんなが「青信号」に見えるからです。

 

そこで、湯浅さんは言われます。

  貧困対策とは、「体験」と「つながり」を提供すること。

 

子どもは、自分の家庭を相対化できません。

自分の家の常識は、世間一般の常識と違うことが多いのですが、

それがわからないのです。

 

ちょっと極端ですが、ある例を示されていました。

ある子ども支援活動をしている人から聞いた話です。

  • 「包丁」を使ったことがない子がいます。

これは、確かにそういう子は多いかもしれないなと思います。

  • まれに、包丁を見たことがない子がいます。

これを聞くと、えって思います。

そして、ついにこんな子がいたそうです。

  • 「包丁って何?」と聞いた小5の子どもが。

うっそーと、思いますね。

 

子どもとかかわるときに、大事なこと。

  • 特別なことをする必要はない。
  • 普通に接しているだけでいい。

 

この子は、この活動に参加して、ほかの大人と接することで、

「包丁」というものを知り、そして、たぶん

その場で触ってみることができたでしょう。

それで、いいんだというわけです。

 

赤信号まで行ってしまうと、民間では対応が難しく、

行政が出ていかなければなりません。

しかし、黄信号から赤信号にならないように予防する活動は、

民間が担えます。

逆に、行政があるとそのサービスを受けられる

条件を付けるようにならざるを得ません。

この普通に接するコミュニティ活動が、

「子ども食堂」というわけなんです。

 

コミュニティとは何か?

湯浅さんによると、

  ”100%の支え手もいないし、100%の支えられてもいないところ”

なんです。

支えるか支えられるかは、その場、その都度変わります。

支えられていると思っていても、支えていることがあります。

その逆もあります。

世のなかは支え合いで、成り立っているのです。

 

だから、子どもが子どもらしく成長できる社会では、

大人もシニアも子どもを支えながら、子どもから支えられてている、

そういうことなんですね。

 

今回参加できて、ほんとうによかったと思っています。

年末にドリームマップを描いたことで、

私の夢がその場に伝わり、そこにおられたカッキーが

この会の運営にも携わっているというご縁にも恵まれ、

この情報をいただきました。

 

夢を描くことで、「体験」と「つながり」が得られたわけです。

 

1月4日に書いた「充実と不安の狭間に」にもつながりますが、

信じてやっていけば、何かが起こってくるという実感です。

ただ、これに参加したから、湯浅さんのお話を聞いたから、

どうなるというものでもありません。

しかし、これを機にできることはいくつかあります。

  • 府中市のこのような活動をよりよく知るために調べたり
  • 子どもの居場所@府中のことを調べたり
  • 湯浅誠さんの本を読んだり、ネットで調べたり
  • ほかのイベントを調べたり
  • 調べて、これはと思ったら行動する

やっていくことはいろいろありそうです。

焦らずに。

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