ある知り合いから、お母さんの認知症(アルツハイマー)が改善したという、すごく印象的なお話を聴きました。とっても勇気づけられます。
身近にも困っている人も多いので、これはシェアしたいと思いました。
実は私自身も、その問題に直面しつつあるのです。
その人のお母さんは、一緒に住んでいるお父さんを、見知らぬ変なオヤジがいると言っていたそうです。それが最近、その人は自分の夫であると認知できるようになったというのです。先日も、電話口で、お父さんに代わってとお願いしたら、すぐに代わってくれたそうです。
認知症の場合、トンチンカンなことばかりですね。
だから、付き添っている人は、まず否定から入りがちです。
「どうして!お父さんがわからないの!」
「何言ってんの!さっき食べたばかりじゃない!」
要は、ほとんどが、”No But”なんですね。
その人は、あるときからそれを徹底して”Yes And”に替えたそうです。
まずは、お母さんが言うことを受け止め、認めてあげる。そして、Andでつなぐのです。ひたすらそれをし続けると、自分の夫がわかるようになったのです。
それをみて、お父さんのお母さんへの接し方も変わったようです。
これは、自分が認知されると、相手を認知できるようになるということではないでしょうか。人間の尊厳につながる感覚があります。
この話を聴いて、二つのことが思い浮かびました。
一つが、数年前に参加した”さわとん”の講演の「5つのたい」です。
各々が持っている人間としての「たい」を認めてあげることが、大事だと言えますね。
そしてもう一つが、入江富美子さんの処女作の映画『1/4の奇跡』です。山元加津子さんのドキュメンタリーです。
意識がなくなり寝たきりになっている人に、あきらめずにひたすら声をかけ続け、体に触れ、さすってあげたりします。それをし続けると、植物人間化していた人の意識が戻るのです。
もう治らないとか、言ってもわからないとかではなく、信じて語りかけると、それは必ずその人の無意識に届くのですね。
そして、先週末のNHKスペシャル『人体』の第5話は「脳」でした。そこでも、認知症が出てきます。対策は効果的な薬をいかに脳に届けるかということでしたが、一番最後が印象に残りました。
記憶が蓄積されるのは海馬の中にある歯状回という部分です。
ここでは、新しい記憶のために神経細胞がつくられています。健全な人間の場合、そこで90歳近くまで、細胞は作られ続けているということが最近分かってきたのです。
認知症は治らない、薬は進行を抑えるだけということを鵜呑みにするのは危険ですね。
健全な人間とは、人間の根源の「5つのたい」を生きている人ではないでしょうか。
これはその人だけの責任ではなく、周りの人の責任でもあるのです。