とかくに人の世は住みにくい - 熊に襲われた二人 -

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エピソード②

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熊に襲われて、二人の男が逃げています。
一人が言います。
「もうだめだ。熊よりも速く走るなんて無理だよ。」
もう一人が言います。
「いや、きみよりも速く走ることができればいいのさ。」
この小咄は、小田亮『利他学』に出てくるものです。

二人が熊に襲われたとき、ともかくも二人で一緒に熊と闘うという考え方もあります。しかし、熊と闘っても勝ち目はありません。それなら、二人で一緒に死のうという考え方もあります。
ところが競争原理の考え方は、
「きみが熊に食われろ。そのあいだに、ぼくは逃げる。」
というものです。

日本はいま、そういう競争原理が大手を振って通用する、いやらしい競争社会になっています。
でも、昔の日本人は、そうではなかた。貧しい時代の日本人は、みんな助け合って生きていたのです。それが、経済発展をして、経済大国になったとたん、競争原理で生きるようになったのです。
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世の中は、「所有」、すなわち「私のもの」という概念、そして「正義」、すなわち「私が正しい」ということがあたりまえになって、おかしくなってきたようです。
何事も競争する、他と比べる世の中です。

今日、大岳山に登ってきました。
山を楽しむ人たちには、ステキなマナーがあります。
ねばならないではなく、自然に出てくる相手を思いやる気持ち、自然を尊重する気持ちです。

そして、山頂で見た富士山。
ただひたすら、”ありがとう”
出てくるのはそれだけでした。

自然の中にあるもの、なに一つとっても、競争なんてしていません。
あるがままにそこにあるのです。

自然の前では、人間は無力です。
世の中に感謝の心が満ちていくために、一歩一歩、一人でも多くの人が歩を進めていくこと、すなわち感謝する人生を生きること。
来年に向けての想いを感じた人なりました。